マージ、DeFiとステーブルコインに悪影響の可能性:レポート

イーサリアムブロックチェーンのMerge(マージ)は、DeFi(分散型金融)プロトコルに大きな影響を与える可能性がある。DappRadarが8月26日に発表したレポートに記した。

レポートは、マージの際に発生するかもしれない遅延に焦点を当てている。マージは取引時間を遅らせたり、レンディングサービスを中断させるなど、DeFiにとって問題となるかもしれず、ステーブルコインの価値を下落させ、DeFiレンディングプールを減少される可能性があるという。

イーサリアムブロックチェーン上では、分散型取引、レンディング、イールドファーミングなどのDeFiエコシステムが構築されており、毎日数十億ドル規模の暗号資産が処理されている。そして、DeFiプロトコルは、イーサリアムブロックチェーンのコンセンサスメカニズムが適切に機能することに依存している。

DappRadarのデータアナリスト、ペドロ・ヘレラ(Pedro Herrera)氏は、移行が問題なく完了したとしても、マージのイーサリアム(ETH)供給に対するネガティブな影響は、DeFiの流動性プールに影響を及ぼす可能性があると述べた。 

マージは特に移行後の数カ月間、新しいトークンの発行速度を減速させると考えられている。トークンの発行が遅くなるなか、イーサリアムブロックチェーンの焼却メカニズムは、マージ前と同じ比率でイーサリアムを流通から排除し続ける。つまり、時間の経過とともに、イーサリアムの供給量は減少することになるからだ。

ダウンタイムが発生?

また、一部のDeFiプロトコルは、PoS移行への対応が遅れているため、ダウンタイムが発生する可能性もあるという。

「マージ後には、ノード間のタイムスタンプのズレなど、テクニカルな問題が発生するリスクがある。開発者が問題解決に取り組む間、ブロック生成の一時停止を余儀なくされるかもしれない」(ヘレラ氏)。

とはいえ、複数のDeFiプラットフォームはマージに影響を受けることはないと自信を示している。人気DEX(分散型取引所)のユニスワップ(Uniswap)は、アップグレードの間、サービスは「シームレスに動作し続ける」と述べた。

先週、イーサリアム財団はマージ完了までの公式スケジュールを発表した。9月6日、ビーコンチェーン(Beacon Chain)のアップグレード「Bellatrix(ベラトリックス)」を実施。マージに向けた最終プロセスがスタートする。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:The Merge May Negatively Impact DeFi Protocols, Stablecoins: Report