弱気相場はWeb3開発の好機、データも証明

現在の弱気市場は新サービス・新プロダクト開発の好機という見方がある。Web3開発者プラットフォームAlchemy(アルケミー)の調査は、すでにそれが進んでいるかもしれないことを示している。

イーサリアム(ETH)価格は年初から約60%下落したにもかかわらず、イーサリアムブロックチェーン上で利用できるスマートコントラクトは第1四半期(1-3月期)末から40%以上増加した。

DeFi(分散型金融)のTVL(total-value locked:預かり資産)は2021年第3四半期(7-9月期)から69%、NFT取引高は88%減少しているが、Web3開発に欠かせないライブラリ、Ethers.jsとWeb3.jsのインストール数は2022年、2021年末から178%増となっている。

アルケミーのグロース責任者、ジェイソン・シャー(Jason Shah)氏は、このデータから得られる最も重要なことは、価格はこの分野に参入する唯一のインセンティブではないことだと述べた。技術的な可能性を求めて開発者はWeb3に集結している。

「それを最もよく示しているのが、ソフトウェア開発者キット(SDK)とスマートコントラクトの利用が昨年、2倍以上になった事実だと思う」(シャー氏)

また、9月には過去最高となる1万7736のスマートコントラクトが利用できるようになった。シャー氏は、イーサリアムブロックチェーンのプループ・オブ・ワーク(PoS)移行「Merge(マージ)」と、新しく生まれ変わったチェーンでのDapp(分散型アプリ)開発機運の高まりによるものと見ている。

「プルーフ・オブ・ワークが環境に与える影響に敏感な開発者やブランドが増えていることは間違いない」(シャー氏)

今回の「暗号資産の冬」は、Web3プロダクト開発の好機といわれているが、過去の弱気相場ではそうしたことは見られなかった。アルケミーのデータによると、2018年から2019年にかけて利用可能なスマートコントラクトは45%減少した。一方、2022年現時点までで前年から50%増加している。

シャー氏は、この違いには3つの大きな要因があると考えている。暗号資産業界における長期的な確信の高まり、多くのWeb3教育リソース、開発をサポートする高度なツールの3つだ。

「その結果、多くの人が2019年にやや信念を失うに至ったかもしれない障害はもはや存在しない」とシャー氏は述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:アルケミー「Web3 Developer Report」より
|原文:Despite Crypto Bear Market, Web3 Developers Are Still Building, Study Shows