新年から相場のモメンタムは改善、先物市場では投機筋が買い入れ 【bitbankチャート分析】

2022年のビットコイン(BTC)は価格が1年間で532万円から217万円まで下落し、弱気トレンドが明確化した1年でした。為替市場でもドル円が一時1ドル=150円まで上昇するなど歴史的な変化があった相場となりました。世界各国の中央銀行が急速に利上げを行ったことで、ビットコインへの資金流入が鈍化したことがビットコイン価格を大きく下げた要因となりました。今年の前半も多くの中銀の利上げが予想されており、ビットコイン相場には向かい風となる状況が想定されます。

それでは、ビットコインの2022年12月と2023年1月1週目の週足を見ていきましょう。

ビットコイン週足

ビットコイン週足/bitbank
  • 12月の週足は1週目に1.4%上昇し、234万円を記録しましたが、その後の3週は連続で陰線となり価格は下落しました。12月の最終週の終値は217万円となり、これが2022年の最終的な取引価格となりました。
  • 2022年は2021年の高値から引かれた下落のトレンドラインをついに超えることができませんでした。1年を通じて価格が継続的に下落したことを表しています。
  • 2023年に入ると価格は底堅く推移し、1週目は3.7%上昇し226万円まで回復しました。2週目となる今週も現在のところ2.0%上昇しており、2週連続の陽線を記録する可能性が高まっています。一方、週足は約2カ月間の移動平均線(8EMA)を下回り推移しています。足元の相場では買いが先行していますが、長期ではまだ弱気な流れの中の調整相場といった動きです。

ビットコイン週足・オシレーター系インジケーター

ビットコイン週足/bitbank
  • 短期のオシレーター系インジケーターのFisherは今週から遅行線を上回りゴールデンクロスが発生しています。昨年11月から続いていた下落のモメンタムが反転し始めていることを示しています。
  • 長期オシレーターのMACDは遅行線を上回り、推移しています。週足のオシレーターは長短期ともに上昇していますが、まだマイナス圏に位置しています。モメンタムの回復を示していますが、上昇トレンドに突入するにはまだ長い調整期間が必要であることを示唆しています。

次はビットコインの先物市場の動向も見ていきましょう。

ビットコイン先物取引価格乖離率

glassnodeよりbitbank作成
  • ビットコインの3カ月先の先物価格と現物価格の乖離率は、年初から上昇傾向にあります。昨年12月までは弱気筋が相場には多く、乖離率はマイナスで推移していました。12月30日には一時、−1.6%まで下落しました。一方、新年が明けると価格が上昇していることから乖離率も上昇し、現在は1.3%程度で推移し、プラス圏を回復しています。徐々にデリバティブ市場で取引を行う投機筋は買い入れを行っているようです。
  • 投機筋の買い入れは相場のモメンタムの変化を表していますが、現物価格の推移ではまだ強い上昇トレンドが発生しているわけではなく、投機筋の動きは相場を先取りし過ぎている可能性があります。先物市場の過度な先行買いは相場の上値が重くなる要因ともなるため注意が必要でしょう。

真田雅幸:ビットバンク(bitbank)マーケット・アナリスト──カリフォルニア州立大学で経済学を専攻し社会のお金の流れについて興味を持つ。大学在学中にビットコインに興味を持ち、bitbankで業界に関する調査業務を行いながら同社のメディアで寄稿を行う。2015年冬頃からビットコインへの投資、トレードを徐々に始める。最近は基本的なテクニカルに加え、デリバティブ情報やオンチェーン情報も分析しながらトレードを行う。

|編集・構成:増田隆幸
|トップ画像:bitbank