ビットコインマイニング、電力と環境にメリット【オピニオン】

米上院環境公共事業委員会は今週、デジタル資産と環境に関する公聴会を開催する。公聴会は、ビットコイン(BTC)のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)によるマイニングプロセスだけにほぼ特化したものとなる予定だ。

シンプルに言ってしまえば、ビットコインマイナーはコンピューターを使って、ビットコインネットワークの安全性を保ち、取引を処理している。その見返りにマイナーは報酬としてビットコインを受け取る。

ビットコインマイナーが使用する莫大なエネルギー(電力)を批判する人たちは、政府がマイニングを取り締まるか、マイナーにPoWプロトコルをやめ、よりエネルギー負荷の低いブロックチェーンで活動するべきだと主張している。

この批判には、重要なことが欠けている。

例えば、ビットコインネットワークが1年間に使うよりも多くの電力が、送電の過程で失われているといった事実だ。政府にビットコインのエネルギー使用を取り締まってもらったり、取引の処理方法を変えさせようとすることは、ビットコインネットワークを損なうだけでなく、アメリカにおけるエネルギーイノベーション、環境面へのポジティブな影響、経済的機会を損なうことになる。

再生可能エネルギーのイノベーションを促進

ビットコインには、再生可能エネルギーを拡大させるポテンシャルがある。再生可能エネルギーは現在、アメリカの電力供給において安定性、コスト、利用などで苦しんでいる。ビットコインマイニングはこうした問題に解決策を提示できる。

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーが発電できるのは、太陽が輝いていたり、風が吹いている時だけ。どうしても断続的になる。再生可能エネルギーでは電力の多くは需要が低い時に発電され、バッテリーに充電しなければ無駄になるか、「出力抑制」が行われる。

現状、カリフォルニア州では2030年までに、500万メガワット時の再生可能エネルギーを出力抑制することになりそうだ。これは、エネルギー使用量下位36カ国の合計を上回る数字だ。

ビットコインマイナーは太陽光発電や風力発電から生まれた余剰電力を購入できる。再生可能エネルギーの収益率を高め、納税者が発電を税金で支える必要はなくなる。

カリフォルニア州で行われる風力発電・太陽光発電の出力抑制
出典:California ISO

ビットコインマイナーはさらに、電力の需給調整サービスに参加することで、再生可能エネルギーの発電のばらつきを平準化することもできる。

つまり、マイナーは風力発電や太陽光発電の余剰電力を消費するだけでなく、家庭、病院などの重要施設、企業が特に電力を必要としている時にはエネルギー消費をゼロ近くまで下げることができる。マイナーはこうした需給調整が可能な州では、ときに消費を抑え、電力事業者が電力を安定的かつ低コストで供給することをサポートしている。

メタンガスも利用可能

マイナーは再生可能エネルギーにとって好ましいだけではない。強力な温室効果ガスであり、経済性が低いために有効活用されずにいるメタンガスも利用できる。メタンガスは、埋立地、放棄された油田、石油やガス事業において頻繁に放出されている。

ビットコインマイナーは基本的にどこでも運営できるため、メタンガスを使って発電し、電力をビットコインマイニングに使うことができる。金銭面にも、環境面にもメリットがある。

関連記事:北欧最大のエネルギー企業、ビットコインマイニングで油田の余剰ガス削減

元グリーンピースのアクティビストでリサーチャーのダニエル・バッテン(Daniel Batten)氏は「アメリカの中・大規模の約50の埋立地で完全にメタンガスを燃焼できれば(中略)ビットコインネットワークをカーボンネガティブにできる」と述べた。

このようなユースケースから、ビットコインマイニングが二酸化炭素排出量を減らしつつ、アメリカのエネルギー資源の成長を促進できることは明らか。ビットコインマイニングは問題を悪化させる要素ではなく、低炭素な未来のための効果的なツールと見なされるべきだ。

PoSのデメリット

このようなメリットにも関わらず、多くの人たちがビットコイン業界に対して、取引の新しいブロックを生み出す別の方法、特にプルーフ・オブ・ステーク(PoS)メカニズムに移行するよう圧力をかけている。

マイニング専用コンピューターを使う代わりに、PoSでは「ステーキング」、つまり、ユーザーが一定期間、暗号資産をロックアップ(預け入れ)するプロセスに頼っている。ステーキングしたユーザーは、報酬を得るとともに、取引の処理とネットワークの安全性の維持に貢献できる。だがPoSは確かにエネルギー消費量は少ないが、他の問題がある。

米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長は先日、ビットコイン以外のすべての暗号資産は証券であり、SECの管轄下にあると述べた。この発言の数日前には、SECは暗号資産取引所クラーケン(Kraken)に対して、同社が提供しているイーサリアムのステーキングサービスは、無登録の証券販売にあたると指摘。これを受けてクラーケンは高額の和解金を支払い、ステーキングサービスを停止した。

ゲンスラー委員長は他の機会でも、PoSを使った暗号資産は証券であり、SECの管轄下にあるとコメント。現行のPoWメカニズムを維持することでビットコインはそうした問題を避けることができる。

ビットコインコミュニティは現在の道を進み続け、再生可能エネルギーを促進し、メタンガスの排出を抑制し、活用されてないエネルギーを使って、ネットワークの安全性維持とアメリカの電力供給に貢献すべきだ。

上院環境公共事業委員会の中心的なミッションは、エネルギーの安定性といったアメリカ市民の基本的ニーズと環境保護を両立させることにある。ビットコインはその実現に役立つ。

このことを念頭に、私たちはビットコインマイニングを進んで活用し、アメリカ全土でその成長を促すべきだ。そうすることで、エネルギーと環境関連のイノベーションにおいて、アメリカは世界をリードできる。

デニス・ポーター(Denis Porter)氏:アメリカにおけるビットコインマイニング教育のための非営利団体Satoshi Action FundのCEO。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Anders j/Unsplash
|原文:Bitcoin Mining Is Good for the Energy Grid and Good for the Environment