ビットコイン、3万ドルに迫る──6月初旬以来の高値

ビットコイン(BTC)は4月10日、3万ドル超えに向かうような動きを魅せた。

3週間ほど前にも3万ドル超えの動きを魅せたビットコインは、市場に楽観が広がるなか、午後には2万9744ドルを超え、6月初旬以来の高値となった。だが上昇の要因はわからない。

「この急上昇の明確な要因はない」とオアンダのシニア・マーケットアナリストのエドワード・モヤ氏は述べた。

「(ビットコインの)エネルギー消費を問題にしたニューヨーク・タイムズの一方的な記事に対して、ソーシャルメディアで不満を訴える暗号資産トレーダーの買い」が一つの要因かもしれないと続けた。

同氏はまた、「連邦住宅貸付銀行(FHLB)の債務発行が減少し、銀行危機が緩和していること」を示すニュースが流れた頃に起こったと指摘した。

イーサリアム(ETH)も上昇、一時1900ドルを超えた(日本時間11日8時45分時点、再び1900ドルを超えている)。

他の主要暗号資産も小幅だが概ね上昇した。レイヤー2ブロックチェーンのアービトラム(ARB)は24時間で2.8%以上上昇、エックス・アール・ピー(XRP)は約1%上昇した。

暗号市場全体のパフォーマンスを示すCoinDesk Market Index(CMI)は2.3%上昇。

株式市場は、S&P500とダウ平均がわずかに上昇し、ナスダックは0.03%下落、全体的にはほぼ横ばいで推移した。暗号資産関連銘柄では、コインベース(Coinbase)とマイクロストラテジー(MicroStrategy)がともに7.5%以上と大きく上昇した。

価値の保存手段として再認識

今週、市場は3月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えている。2月のCPIは前月の0.5%から0.4%に、年率換算では6.4%から6%に鈍化した。ビットコインはこのニュースを受けて、3月14日に2万6000ドルを超えて上昇した。

インフレ減速が続けば、FRB(米連邦準備制度理事会)が1年間続けてきた厳しい利上げを縮小させる可能性がある。だがビットコインへの影響は不透明だ。ビットコインは銀行の破綻によって従来の金融システムに対する不安が生じたことを受けて、勢いを増したようだ。

投資家はまた、米銀大手のJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、シティグループの第1四半期決算にも注目している。アナリストは、特に打撃を受けた金融サービス部門の決算が大きく落ち込むと予想している。

「ビットコインは、第三者の仲介機関や銀行を経由してお金を保管する際に生じる問題のない、信頼できる価値の保存手段として見られている」と暗号資産業界に決済&コンプライアンスのインフラを提供するBanxaの米担当CEO兼最高法務責任者リチャード・マイコ(Richard Mico)氏はCoinDeskへのメールに記している。

「これは2021年以降、株式市場との相関関係が低下していることで、さらに裏付けられている。ビットコインは今、リスクオフ資産として正しく認識され始めている」

BitBull Capitalのジョー・ディパスクァーレCEOは、10日の上昇の持続性について慎重だが楽観的だった。

「ビットコインは3万ドルでレジスタンスを見つける可能性が高い」とディパスクァーレ氏は指摘。テクニカル分析では、現在の動きは「2万ドル割れからの最初の上昇の後、3月に確立したレンジの高値の再テスト。成功すれば、価格は3万ドルを確立し、失敗すれば2万5000ドル、次いで2万3000ドルまで下落するだろう」

また同氏は「現在の価格は、市場が再び大きな上昇に向かった2021年7月の安値も試している」と付け加えた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:Bitcoin Approaches $30K, Reaching Highest Price Since June