ぺぺコイン人気でイーサリアムバリデーターの収益拡大

先週末のぺぺコイン(PEPE)をめぐる熱狂は、イーサリアムブロックチェーンを支えるバリデーターの収益性を劇的に向上させた。

データサイトのmevboost.picsによると、週末、MEV-Boostからの収益が急増。取引手数料を合わせたバリデーターの収益は、FTX破綻による混乱でイーサリアム(ETH)需要が高まったときに匹敵した。

5月6日、MEV(最大抽出可能価値)の収益は549.05ETH、取引手数料は2457.73ETHで合計3006.78ETH(当記事執筆時点で約560万ドル、約7億5600万円)にのぼった。FTX崩壊の影響を受けた2022年11月9日は、MEVの収益は2505.69ETH、取引手数料は1423.99ETH、合計3929.68ETH(約610万ドル)だった。

MEVは、バリデーターが待機中の取引プール(mempool)を分析し、取引順序を変更、あるいは最適化することで得られる利益、あるいはその手法をいう。従来の市場における裁定取引と似ている部分があり、表向きは合法行為とされているが、フロントランニングに例えられることもある。

フロントランニング:従来の金融取引では「顧客(投資家)からの注文を受けた金融商品取引業者やその役職員が、顧客の売買を成立させる前に、顧客の注文より有利な価格で自分の売買を行うこと」(出典:大和証券)をいい、日本では金融商品取引法で禁止されている。

ぺぺコインが高騰したことで、イーサリアムブロックチェーンの取引手数料が上昇し、バリデーターはかなりの収益を得た。通常、こうしたときには、MEVがバリデーターの収益のかなりの部分を占めるが、取引手数料が上昇するとバリデーターはさらに収益を得ることができる。

これまで、MEVの収益と取引手数料の双方が今回のぺぺコイン人気よりも高かったのは、シリコンバレー銀行の取り付け騒ぎと、その影響を受けてステーブルコインのUSDコイン(USDC)がドルベッグを逸脱したときだけ。

週末以降、取引手数料は、ぺぺコインの価格下落と、暗号資産取引所バイナンス(Binance)がぺぺコインを上場したことを受けて、減少している。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Danny Nelson/CoinDesk
|原文:PEPE Meme Coin Craze Spreads Wealth to Ethereum Validators Running Blockchain