ビットコインは米CPI発表前後にボラティリティが上昇: カイコ

5月10日、アメリカ東部時間の午前8時半(協定世界時午後12時半、日本時間午後9時半)にアメリカ労働省労働統計局(BLS)から4月の消費者物価指数(CPI)が発表される。

FXStreetが発表したロイターの予想によると、インフレ率は5%で横ばい、変動の激しい食品・エネルギー成分を除いたコアインフレ率は3月の5.6%増に続き5.5%増と予想されている。

パリに拠点を置く暗号資産データプロバイダー、カイコ(Kaiko)のリサーチアナリストであるデシスラバ・オーベール(Dessislava Aubert)氏によると、ビットコイン(BTC)は歴史的にインフレデータ発表の前後6時間でボラティリティが増加しているという。

ビットコインは、アメリカ東部時間午前8時半のCPI発表の前後6時間で、価格の乱高下が起こる傾向がある。(Kaiko)

上図で、青い線は1時間当たりの絶対値騰落率で測定した当月の平均ボラティリティを表している。オレンジの線は、CPI発表前後6時間のボラティリティを表している。

青い線は過去2年間、着実に減少しており、オレンジの線は特に2022年4月以降、上向きに傾いている。オレンジの丸は一貫して青い丸の上に位置しており、これは毎月のインフレデータが市場に余分なボラティリティを注入する傾向があることを示している。

「特にデータ発表の前後のボラティリティは、平均を上回る状態が続いている。先週、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策のデータ依存度をさらに高めることを明確にしたため、この傾向は続くだろう」とオーベール氏は電子メールで述べている。

言い換えれば、ビットコインは今日、価格の乱高下が起こる可能性がある。ビットコインは、米CoinDeskのデータでは、現在2万7620ドル前後で取引されている。

FRBは先週、0.25%の利上げを行い、基準金利を5%~5.25%の範囲に引き上げた。声明では利上げサイクル休止の扉を開いたが、ジェローム・パウエル議長は連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でデータ依存のスタンスを維持することを示した。

そのため、インフレ率が予想を上回った場合、利上げ継続の根拠が強まり、暗号資産を含むリスク資産に痛みをもたらす可能性がある。一方でデータが予想を外れた場合、ビットコインはボラティリティが上昇する可能性がある。

FRBは猛烈なインフレを抑制するために14カ月前に引き締めサイクルを開始し、それ以来5%の利上げを実施してきた。流動性の逼迫は昨年、暗号資産市場を混乱させている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Kaiko
|原文:Bitcoin Tends to Become More Volatile Around Monthly U.S. Inflation Releases: Kaiko