NFTレンディングの人気が上昇中──プラットフォームのやり方に懸念の声も

5月、NFTの取引高が低迷した一方で、NFTレンディングサービスが人気を集めつつある。しかし現状、評価はまちまちのようだ。

NFTfi──NFTとDeFi(分散型金融)を掛け合わせた最新テクノロジー──が台頭している。NFTfiは、NFT担保ローン、フラクショナル(分割)トークン、NFTのレンタルやレンディングなど、NFTに幅広いユーティリティと流動性を提供することを目的としたさまざまなツールの総称。

2021年のNFT強気相場を活用する方法としてスタートしたNFTfiは最近、大手Web3プレイヤーが市場に参入し、人気が急上昇している。

人気マーケットプレイスが融資プラットフォーム開始

5月、人気NFTマーケットプレイスのBlurは、NFTを担保として利用できるピア・ツー・ピア(P2P)の融資プラットフォーム「Blend(Blur Lendingの略)」をスタートさせた。Blurの人気を活用したBlendは、最初の3週間でNFTレンディング市場のシェアの82%をあっという間に獲得した。

その後すぐ、他のNFTレンディングプラットフォームも登場。バイナンス(Binance)は「Binance NFT Loan」を立ち上げ、NFTを担保にイーサリアム(ETH)を借りることができるようにした。

DeFiプロトコル、スシワップ(SushiSwap)の元CTOジョセフ・デロン(Joseph Delong)氏も「Astaria」を立ち上げた。

これらのプラットフォームには多くのトレーダーが集まり、NFTを「担保として預け入れ」して、利回りを稼ぎ始めている。さらに「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」や「Azuki」のような人気の高い、高価なNFTには手が届かなかったトレーダーも、今ではこれらのNFTをわずかなコストでリースできるようになっている。

NFTレンディングにメリットがあることは確かだが、リスクもある。BlurのトレーダーやNFTfiネイティブのユーザーの中には、Blendの貸し出しの仕組みに疑問を投げかけ、参入する前にNFTを安全に借りる方法を十分理解するよう、初心者トレーダーに呼びかけている人もいる。

また、トレーダーは休眠状態のNFTを貸し出して利回りを得るというアイデアを支持するだろうが、清算リスク、プラットフォーム固有のレンディングメカニズムやプラットフォームの分散化に対する懸念は残ったままだ。

「怠け者」トレーダーにメリット

NFTレンディングプラットフォームの台頭は、現在の市況を考慮すると納得できるものだろう。強気相場で購入した多くのNFT保有者は、下落相場のなかで利回りを稼ぐことを望んでいる。

保有者はNFTをプラットフォームに預け入れる。一方、トレーダーはお金を払って一定期間、NFTを借りて保有する。こうして保有者は、いくらかの利回りを手にする。一方、借り手はNFTエコシステムに参加したり、他の方法ではアクセスできないような特典を利用する機会を得る。

自らのNFT取引へのアプローチを「怠け者」と、冗談半分に表現したポリゴン(Polygon)のグロース担当ディレクター、ハムザ・カーン(Hamzah Khan)氏のような人物にとって、NFTレンディングは高い収益性をもたらすものだ。

「私はただ、長期的に保有するだけ。毎日使うわけではない。(中略)基本的には、より多くの資本が得られるので(NFTレンディングを)好んでいる」(カーン氏)

NFTレンディングのリスクとは

NFTレンディングの危険性について問われるとカーン氏は、NFT価格が下落した場合の清算リスクを指摘。しかし同氏は成長中の業界に対して強気で、高い人気を誇る優良なNFT以外の資産を貸し出すことに価値を見出していると強調した。

「私はPFP(SNSのアイコンに使うNFT)を多数保有していて、どこかで使いたいと思っている。家がNFTになり、住宅ローンも(NFTに使われる規格の)ERC-721建てにできるなど、この分野ははるかに成長するだろう。NFTでどれだけのことができるか、多くの人はひどく過小評価していると思う」(カーン氏)

NFTレンディング市場は、主にNFTから利回りを稼ぎたいNFTトレーダーを対象としているが、住宅市場のような暗号資産分野以外のレンディング市場と同じように運営されており、Web3の世界にさらに多くのトレーダーや企業を取り込む可能性を秘めている。

「搾取的」な行動のリスクも

だが、すべてのNFTレンディングプラットフォームが同じように運営されているわけではない。

NFTレンディングプラットフォーム、ワサビ・プロトコル(Wasabi Protocol)のメイソン・カグノーニ(Mason Cagnoni)最高執行責任者(COO)と事業開発担当バイスプレジデントのカラン・カリア(Karan Karia)氏は、NFTレンディングの大きなリスクは、価格が下落した場合の清算だが、Blendの「頭金」機能は、トレーダーがNFTの支払いを複数回に分けて長期的に行うことを可能にしており、これはNFT取引初心者にとっては厄介なものになり得ると語った。

「今買って、後で支払う(buy now, pay later)」という宣伝文句で、バックエンドでは無期限レンディングを使っているが、これは借り手にとってはきわめて搾取的とカリア氏は指摘した。

「すぐに電話がかかってきて、24時間以内に返済しなければならないローンなど聞いたことがあるだろうか? そんなことをするのはマフィアだけだ」(カリア氏)

カグノーニ氏は、新規トレーダーは結果を十分に理解しないまま、リスクの高い行動を取る傾向にあると指摘。

「レンディングプラットフォームはすでに存在していた。Dune(ブロックチェーン分析ツール)のダッシュボードを見ると、ユーザー層は重複している」とカグノーニ氏。つまり、Blendのユーザーとしては、新規ユーザーかもしれないが、レンディングサービスの新規ユーザーではないと述べた。

分散化を進めるために

ブロックチェーン分析プラットフォームDappRadarの最近のレポートによると、Blendは立ち上げから最初の3週間で、Blurの取引高の46.2%を占めた。カグノーニ氏とカリア氏は、Blurのポイントファーミングシステムにより、多くの新規トレーダーがBlendに集まったのだろうと推測している。

取引活動に対してユーザーに報酬(ポイントなど)を提供するのはBlurだけではないが、その急速な成長と高いシェアは、BLURトークンのエアドロップ成功のおかげとされている。

カリア氏は、Blurのユーザーが今後予定されているエアドロップによって念願のトークンを獲得すれば、現在の取引高は減少し始めるかもしれないと示唆した。より広範なレンディングエコシステムにおいては、新興プラットフォームはNFTレンディングを可能な限りDeFiに近づけるために、分散化を最優先のミッションに据える必要があるとカリア氏は述べた。

「私たちは皆、分散化を信じてこのWeb3の世界にいると思う。だから分散化された、パーミッションがオープンなプロトコルが互いに結びついて、真にオープンなNFTfiシステムを構築することが、はるかに前向きな展望だと思う。バイナンスのような中央集権的な取引所であれ、Blurのような疑似中央集権的なプラットフォームであれ、すべてが1つの場所にサイロ化(分断化)されているのではなく、私たちは分散化された未来に向けて開発を進めている」とカリア氏は語った。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:NFT Lending Is Trending, Raising Concerns of ‘Predatory’ Platform Behavior