機関投資家は暗号資産の先行きに楽観的:バイナンスの調査で

世界最大の暗号資産(仮想通貨)取引所であるバイナンス(Binance)が2023年3月から5月にかけて実施した調査によると、同社の機関投資家の顧客は来年以降の暗号資産の見通しについて楽観的だという。

この調査はバイナンス・リサーチとバイナンスVIP&機関投資家チームが3月31日から5月15日にかけて同社の顧客208人を対象に実施したものだ。回答者の半数以上、52%が2500万ドル(約36億1600万円)未満の暗号資産運用残高(AUM)を持ち、22.6%が1億ドル(約145億円)以上のAUMを持っていた。

調査報告書によると、回答者の63.5%が今後1年間の暗号資産の見通しに前向きで、88%が今後10年間は楽観的であると答えた。

バイナンスの機関投資家顧客は、暗号資産の先行きにポジティブな見方をしている。(Binance)

この調査では、過去1年間のネガティブな市場イベントにもかかわらず、回答者が暗号資産への配分を維持したことも分かった。機関投資家の47%は過去1年間、暗号資産への配分を維持し、3分の1以上は配分を増やした。わずか4.3%が、今後12カ月で暗号資産への配分を減らすと回答した。

6月初め、アメリカ証券取引委員会(SEC)によるバイナンス(Binance)とコインベース(Coinbase)に対する提訴が行われ、昨年から弱気相場が続いているにもかかわらず、バイナンスの調査では機関投資家の顧客は前向きな姿勢を示している。

投資に関心のある分野については、54%の投資家がインフラを最も重要視しており、レイヤー1とレイヤー2のプロジェクトがそれぞれ48%と44%と僅差で続いた。

(Binance)

Web3インフラは、昨年のFTXの破綻を受けて、今年の初めから投資家の注目を集めてきた。インフラストラクチャという言葉は幅広く使われており、ブロックチェーン間のポータルからオンチェーンウォレットまでさまざまなものがある。

直近では、ブロックチェーン・インフラストラクチャ・プロバイダーのLayerZero LabsがシリーズB資金調達ラウンドで、評価額30億ドル(約4339億6500万円)で1億2000万ドル(約173億5800万円)を調達し、1億3500万ドル(約195億2800万円)を得た2022年3月のラウンドから評価額を3倍に増やしている。

反面、機関投資家にとって最も重要でなかったのは、NFT、メタバース、ゲーム分野だった。

NFTとメタバースは、2021年の強気相場中に人気が急上昇し、「Beeple’s Everydays: The First 5000 Days」のような目を見張るようなNFTの売上や、フェイスブック(Facebook)がメタバースに注力するためにメタ(Meta)にブランドを変更した。その後、NFTの取引量が減少し、メタバースの成長が停滞する弱気相場が続いたため、誇大な宣伝は減少した。

しかし、アップル(Apple)の複合現実ヘッドセットを発表したことで、メタバース業界に一時的ではあるが楽観的な見方が戻ってきている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Binance
|原文:Binance’s Institutional Clients Remain Optimistic on Crypto Amid Tough Market