イーサリアムが7カ月ぶり安値に下落──予想上回る米CPIで暗号資産は低調

アメリカの消費者物価指数(CPI)が予想を若干上回ったことを受けて、暗号資産(仮想通貨)価格は12日に4日連続で下落した。イーサリアム(ETH)は7カ月ぶりの安値を記録した。

CoinDeskのデータによると、イーサリアムは1523ドル(約22万8450円、1ドル150円換算)まで下落し、3月以来の安値となった。その後1531ドルまで反発したが、過去24時間では依然として1.9%下落しており、暗号資産市場全体のパフォーマンスを示すCoinDesk Market Index(CMI)の0.5%下落を下回った。

一方、ビットコイン(BTC)は2万6600ドル(約399万円)と小幅な下落にとどまり、他の大半の暗号資産のパフォーマンスを上回った。

DeFi関連で大きく下落

12日には、ソラナ(SOL)、トンコイン(TON)、アバランチ(AVAX)が2~3%下落した。

分散型金融(DeFi)分野での活動停滞が続く中、DeFi関連の暗号資産がセクター別では最も打撃を受け、CoinDesk DeFi Index(DCF)は2%近く下落した。

従来の市場では、4日連続で上昇していた米国株の上昇が止まった。インフレ指標として注目されている9月の消費者物価指数(CPI)がアナリスト予想の0.3%に対し0.4%上昇したため、債券利回りの急上昇と共にS&P500とナスダック総合指数はそれぞれ0.6%下落した。

ドルインデックスも0.8%上昇し、株式や暗号資産などのリスクの高い資産への圧力が強まった。

アルトコイン苦戦でビットコインに強さ

投資顧問会社バイトツリー(ByteTree)は、暗号資産の苦戦が続く中、ポートフォリオにおけるイーサリアムの比重を減らすよう投資家に勧告した。

バイトツリーのアナリストらは今週の市場レポートで、「イーサリアムは素晴らしい長期プロジェクトだが、同時に投資としての輝きを失いつつある」とし、手数料から得られるネットワーク収入の減少、バーン量の減少(イーサリアムがインフレに転じた要因)、ステーキング利回りが徐々に低下していることなどの理由を挙げた。

バイトツリーのアナリストらは、「これらすべての要因が組み合わさってイーサリアムに弱気の圧力をかけている。アンダーパフォーム(市場全体よりもパフォーマンスが悪い状態)が続いていることを考慮すると、エクスポージャーを減らすことが賢明であると考えている」と述べた。

Bakktの最高製品責任者(CPO)であるダン・オプレイ(Dan O’Prey)氏は、投資家が不確実な時期に比較的安全なビットコインを好むことが、他の暗号資産が苦戦する中でビットコインのパフォーマンスが比較的高い理由の一つになっている可能性があると指摘した。

オプレイ氏は電子メールで、「ビットコインは最も分散化された安全な資産であるが、よりリスクの高いロングテールコインから資金が流れることの恩恵を受けている」と述べた。

米暗号資産取引大手のコインベース(Coinbase)のアナリストは12日の市場レポートで、ビットコインのドミナンスは現在、2年ぶりの高水準に近づいていると指摘した。

|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk
|原文:Ether Drops 1.9% to 7-Month Low as Crypto Buckles Further Following Inflation Data