ビットコイン、3万5000ドル突破で16カ月ぶり高値──オプションヘッジでさらなる上昇余地

アメリカでビットコインETF(上場投資信託)が承認されるとの楽観的な見方が広がり、暗号資産(仮想通貨)市場は10月の強気相場を継続。ビットコイン(BTC)は23日に3万5000ドル(約525万円、1ドル150円換算)を超えるほどに急騰し、2022年5月以来の高値を記録した。

ビットコインは過去24時間で11%以上上昇し、本記事執筆時点では3万3316ドルで推移している。最高値からは反落したが、まだ上昇を継続している。

ビットコインETFめぐる楽観的な見方が背景

ビットコインETF承認をめぐる楽観的な見方は、最近出されたグレイスケール(Grayscale)に有利な裁判所の判決により、ビットコイン投資信託として最大のグレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)がビットコインETFに転換できる可能性が高まったことが背景にある。さらに、世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)が申請していたETFが、アメリカの金融市場で証券の中央管理を担うDTCC(Depository Trust & Clearing Corporation:米国証券保管振替機関)のウェブサイトにID番号付きで掲載され、同社の申請における若干の進展となった。これはETFの承認を意味するものではないが、同社が勝利を確信している兆候だと解釈する人もいる。

チェーンリンク(LINK)、ポルカドット(DOT)、ポリゴン(MATIC)は6%~10%の上昇を記録し、主要暗号資産の中では最もパフォーマンスが良好だった。イーサリアム(ETH)とエックス・アール・ピー(XRP)は2~3%上昇した。

米10年債利回りが23日に16年ぶりに5%に達した後大幅に低下したため、アメリカの株式市場はこの日序盤の下げが解消され、まちまちで終了した。

ビットコインにはさらなる上昇余地

CoinDesk Indicesのリサーチ責任者であるトッド・グロース(Todd Groth)氏はX(旧ツイッター)で、ビットコインが3万ドル(約450万円)を超える水準で値固めをしたため、ビットコイン・トレンドインジケーター(BTI)が「大幅な上昇トレンド」に切り替わったと指摘。「ビットコインとイーサリアム、CoinDesk Market Index(CMI)はすべて前週比で上昇した。ハイテク株のQQQや長期利回り上昇とは切り離された」と述べた。

暗号資産投資会社ギャラクシー(Galaxy)のリサーチ責任者であるアレックス・ソーン(Alex Thorn)氏は、オプション取引のディーラーは3万ドルの水準を超えたポジションをヘッジするために現物市場でビットコインを購入する必要があるため、上昇トレンドがさらに加速する可能性があると述べた。

ソーン氏は市場レポートで、「3万2500ドル付近のピークでは、デルタニュートラルを維持するために1%の上昇ごとにオプションディーラーがビットコインを2000万ドル(約30億円)近く購入する必要がある」とし、「このポジショニングは、現物価格が上昇するにつれてマーケットメーカーがより多くのデルタを買い戻す必要があることを意味しており、これにより短期的にはあらゆる動きの爆発性が高まるはずだ」との見方を示した。

しかし、投資顧問会社バイトツリー(ByteTree)のアナリストらは23日のレポートで、ビットコインブロックチェーンの活動によって、より悲観的な見通しが示されていると指摘した。

バイトツリーのシェリヤル・アリ(Shehriyar Ali)氏とセラン・ダルビ(Seran Dalvi)氏は、トランザクション(取引)件数は1カ月で50%減少し、ビットコインネットワークの経済的処理量も下降傾向にあると指摘。「これは、価格が前向きなニュースの期待のみで動かされていることを意味しており、短期的には必ずしも健全ではない」と述べた。

ギャラクシーのソーン氏は、2万6750ドルから2万8250ドルのゾーンがビットコイン価格のサポートとして機能するとの見方を示し、「現物価格がこのレンジに下がった場合も、ディーラーはデルタニュートラルを維持するためにビットコインを購入する必要があり、現物価格の追加のサポートとなるはずだ」と説明した。

|翻訳・編集:林理南
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|原文:Bitcoin Tops $35K, Hitting 16-Month High; Options Positioning Suggests Price Has Further to Run