分散型予測市場ポリマーケット、今年FRBが利下げしない可能性を32%と予測
  • 分散型予測市場ポリマーケットの参加者は、FRBが2024年に金利を据え置く確率を、3月の7%から32%に引き上げた。
  • 伝統的な金融市場では、25bpの利下げ予測は1月上旬の6回から2回に縮小されている。

米連邦準備制度理事会(FRB)が今年金利を据え置く確率が上昇している。

ブロックチェーンベースの分散型予測市場ポリマーケット(Polymarket)の参加者は、FRBが年内に基準金利を5.2%から5.5%の間で維持する確率を32%と予測。1ヶ月前の7%から大きく上昇した。

一方、25ベーシスポイント(bp)の利下げが実施される確率は27%となっている。

市場心理のタカ派的な変化は、暗号資産(仮想通貨)やテクノロジー株を含むリスク資産への需要を減退させる可能性がある。一部のアナリストによると、第1四半期にビットコイン(BTC)が7万3000(約1095万円、1ドル150円換算)ドル超の記録的な高値まで急騰したのは、速やかな利下げへの期待が主な原動力となっていたからだ。

今年FRBが利下げに踏み切る可能性はわずか27%と見られている。(Polymarket)

ビットコインの上昇は3月中旬以降停滞しており、6万ドル(約900万円)と7万ドル(約1050万円)の間で取引されている。

ポリマーケットのタカ派的な予測は伝統的な金融市場と一致しており、投資家は1月上旬時点では2024年に25bpの利下げが6回あると予測していたのに対し、現在はわずか2回と見ている。バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)は最近、最初の利下げ時期の予測を6月から12月に変更し、ソシエテ・ジェネラル(Societe Generale)は2025年まで利下げを行わないだろうと述べた。

利下げの緊急性はない

数週間前まで、市場も政策立案者も、インフレ率は今後数ヶ月下がり続け、FRBは今年後半に急速な利下げに踏み切ると確信していた。

しかし、最新のデータ、特に3月の強い雇用統計と、3ヶ月連続となるインフレ率の予想以上の上昇により、即時利下げを求める声は弱まっている。

「短期的な利下げを正当化する理由がないことは伝統的な経済指標から明らかだ。雇用は好調で、小売売上高は予想を上回り、第1四半期のGDPは昨年の第4四半期をそれほど下回らないと予想され、インフレ率も高水準だ。4ヶ月ほど前までは利下げが間近に迫っていると語ったFRBのパウエル議長でさえ、今では以前の予想よりも長く金利を高く維持する可能性を示唆している」と、ニュースレター「Crypto Is Macro Now」の著者であるノエル・アチェソン(Noelle Acheson)氏は17日の配信で述べた。

FRBのジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長は16日、米経済にインフレが戻ってきたと述べ、利下げはすぐには行われない可能性を示した。

18日には、ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ(John Williams)総裁もタカ派に加わり、「経済の強さを考えれば、利下げに緊急性は感じない」と述べた。

ウィリアムズ総裁は、ワシントンで開催されたセマフォー世界経済サミットで、「最終的には(中略)金利はどこかの時点で引き下げる必要があると思うが、そのタイミングは経済次第だ」と述べた。

アトランタ連銀のラファエル・ボスティック(Raphael Bostic)総裁は、「忍耐強く待つ」ことに抵抗はないと述べ、最初の利下げは年末が有力だと示唆した。

サンフランシスコ連銀のメアリー・デイリー(Mary Daly)総裁も15日、「最もやってはいけないことは、緊急性を必要としないときに緊急に行動することだ」と同様の見解を示した。

|翻訳・編集:行武 温
|画像:Jesse Hamilton/CoinDesk
|原文:Polymarket Traders See 32% Chance of No Fed Rate Cuts This Year