10年物米国債の入札で強い需要が示され、需要懸念が緩和──次には30年物の入札が控える

- 6月11日の入札では、10年物米国債に対する強い需要が示され、関心が低下しているという見方を覆す結果となった。
- 12日の30年物国債の入札は、さらなる手がかりとなる可能性がある。
- アメリカの国家債務は36兆ドルを超え、一部のアナリストは財政危機に対するヘッジ手段としてビットコインやゴールド(金)を提案している。
6月11日に行われた10年物米国債の入札は、投資家が世界金融の基盤である米国債から資金を流出させ、ビットコイン(BTC)やゴールド(金)に注ぎ込んでいるという見方を覆すものとなった。
12日に行われる220億ドル(約3兆1900億円、1ドル=145円換算)規模の30年物の入札は、4月初旬に世界的な貿易戦争を開始して以来、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の財政政策に対する投資家の信頼の度合いを改めて示すものとなるかもしれない。また米国債が、最も流動性が高く、信用リスクの低い、最高の固定収入商品としての輝きを失いつつあるかどうかを示すシグナルとなるかもしれない。
Exante Dataによると、6月11日の入札では、利回り4.421%の10年債390億ドル(約5兆6550億円)分の需要が供給を2.5倍以上上回り、プライマリーディーラーによる引き受けはわずか9%と、過去4番目に低い水準にとどまった。これは、投資家が大部分の債券を購入したことを示している。プライマリーディーラーとは、中央銀行から国債の取引を認可された機関であり、引き受け(テイクダウン)とは、新規発行された国債を自ら吸収する額を指す。
悪化する債務
6月現在、アメリカの総債務残高は36兆ドル(約5220兆円)を超え、国内総生産(GDP)の120%を超えている。
財政赤字(歳出が歳入を上回る金額)は、2024年には1兆8000億ドル(約261兆円)に達した。トランプ大統領の減税計画により、この数字は今後数年間で2兆4000億ドル(約348兆円)増加すると予想されている。現在、アメリカは債務の利払いに年1兆ドル(約145兆円)を支払っている。
したがって、今回の新規発行は問題をさらに悪化させる可能性が高く、複数のアナリストが財政危機に対するヘッジ手段としてビットコインとゴールド(金)に注目している。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Strong Uptake at 10-Year U.S. Debt Sale Eases Demand Concerns, 30-Year Sale’s Up Next