ビットコインマイナーの収益が2カ月ぶりの低水準に──売り圧力は依然として見られず
  • ビットコインマイナーの収益は2カ月ぶりの低水準に落ち込み、1日あたりの利益は3400万ドルに減少した。
  • 収益性は低下しているものの、マイナーのウォレットからの資金流出は低水準にとどまっているため、売却を強いられている兆候は見られない。
  • マイナーの準備金は増加しており、現在の低価格の中で長期的な戦略をとっていることを示唆している。

ビットコイン(BTC)マイナーの収益は2カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。しかし、収益性は低下しているものの、売却を強いられている兆候は見られない。

CryptoQuantがCoinDeskに共有した週次レポートによると、1日あたりのマイニング収益は6月22日に3400万ドル(約49億円、1ドル145円換算)に落ち込み、4月以来で最も低い水準となった。直近1年間で見ても最も低い水準だ。

この下落は、トランザクション(取引)手数料の低下とビットコイン価格の安値圏での推移によって、マイナーがオンライン状態を維持するインセンティブが全体的に低下する中で起きている。

[(CryptoQuant)]

ハッシュレートは6月16日以降3.5%低下しており、これは2024年7月以来最大のネットワークの計算能力低下となる。緩やかな低下だが、半減期後の利益率低下に既に苦しんでいるマイナーへの圧力が高まっていることを反映している。

しかし、予想されていたマイナーの降伏の波はまだ現れていない。マイナーのウォレットからの流出は依然として低調で、2月の1日あたり2万3000BTCから現在は約6000BTCに減少している。取引所への送金急増は記録されていない。

長期的なセンチメントの先行指標となることの多いサトシ時代のマイナーに関連付けられたウォレットでさえ、ほとんど動いていない。2024年には約1万BTCが売却されたのに対し、2025年にはこれまでに150BTCしか売却されていない。

サトシ時代のマイナーとは、ビットコインネットワークのごく初期の頃、一般的には2009年から2011年の間にビットコインをマイニングしたネットワーク参加者を指す。当時は、ビットコインの匿名の生みの親であるサトシ・ナカモト(Satoshi Nakamoto)氏がまだオンラインフォーラムで活動していた。

一方、データによるとマイナーの準備資産は増加している。100BTCから1000BTCを保有するアドレス(通常は中規模のマイニング事業者が運営)は、3月以降4000BTCを追加し、残高は2024年11月以来の高水準に達した。

重要な点は、マイナーは長期的な戦略をとっていることだ。価格の反発を期待しているか、現在の価格で売却するよりも現金を使い切ることを選んでいるかのどちらかだ。

CryptoQuantは、「このことはさらに、こうした価格レベルではマイナーからの売り圧力がないことを示唆している」と結論付けた。

|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk Archives
|原文:Bitcoin Miner Revenue Drops to 2-Month Low, but Selling Pressure Remains Absent: CryptoQuant