ロビンフッド、独自のブロックチェーン開発とトークン化された株式の取引開始で、暗号資産事業をさらに強化

- ロビンフッド(Robinhood)は、アービトラム(Arbitrum)を基盤とした独自のブロックチェーンネットワークの開発と、欧州ユーザー向けのトークン化株式取引のローンチによって、暗号資産(仮想通貨)サービスの拡大を進めている。
- ロビンフッドは、ブロックチェーン技術を活用した24時間365日取引、セルフカストディ、トークン化資産のクロスチェーンブリッジを特徴とする、オールインワン投資アプリの開発を目指している。
- ロビンフッドは暗号資産戦略の一環として、欧州ユーザー向けにパーペチュアルスワップ(無期限先物)の取引サービスを、米国投資家向けには暗号資産ステーキングサービスの提供を開始する。
デジタルブローカレッジプラットフォームのロビンフッドは、新たなサービス展開を通じて暗号資産分野での存在感を拡大している。これには、同社が6月30日に発表した、アービトラムを基盤とした独自のブロックチェーンネットワークの開発や、トークン化された株式取引の開始が含まれる。
ロビンフッドは30日、欧州のユーザー向けにイーサリアムレイヤー2のアービトラム上で発行された株式トークンの提供を開始した。ユーザーは、約200銘柄の米国株式とETFを、平日24時間取引できるようになった。
このサービス開始により、ロビンフッドは暗号資産に特化したEU向けアプリにトークン化された株式を追加し、「暗号資産を基盤としたオールインワン投資アプリ」へと進化させると、同社はプレスリリースで説明した。
ロビンフッドはまた、トークン化された資産向けに最適化された独自のレイヤー2ブロックチェーンネットワークを開発中であることを認めた。
この新たなチェーンはアービトラムのテクノロジースタックを基盤とし、24時間365日の取引、セルフカストディ、およびトークン化された資産のクロスチェーンブリッジをサポートすることを目的としている。
リリース日は未発表だが、事情に詳しい関係者によると、今年後半から来年初頭にかけて運営開始の可能性があるとされている。
ロビンフッドは、プライベートエクイティトークンへのアクセスを、まずオープンAI(OpenAI)とスペースX(SpaceX)のトークン化された株式から開始すると発表した。
「我々は規制当局と協力し、ロビンフッドのエコシステム全体をオンチェーンに移行させる取り組みを継続していく」と、会長兼CEOのヴラド・テネフ(Vlad Tenev)氏は、フランスのカンヌで開催されたローンチイベントで述べた。
ナスダックで取引されているロビンフッド株は、30日の取引セッションで8%以上上昇し、史上最高値の91ドルに達した。
ロビンフッドのトークン化資産事業への進出は、あらゆる種類の金融商品を一元的に取引できるプラットフォームを提供しようとするデジタル資産取引所との競争が激化する中で行われている。
資産のトークン化は、株式、ファンド、不動産などの現実資産をブロックチェーン上に移行し、より安価で迅速かつ効率的な決済と24時間取引を実現することを目指す、現在最も注目されている分野である。
資産のトークン化には巨大な機会が潜んでいる。リップル(Ripple)とBCGの報告書によると、トークン化資産市場は2033年までに18兆9000億ドル(約2700兆円、1ドル=144円換算)規模に達する可能性がある。
バイビット(Bybit)、クラーケン(Kraken)、ジェミナイ(Gemini)など、人気の暗号資産取引所は最近、ユーザーにトークン化株式の提供を開始し、コインベース(Coinbase)も規制当局の承認を求めていると報じられている。
ロビンフッドのテネフ氏は今年初頭、資産のトークン化を富裕層に限定されてきた資産へのアクセスを拡大する手段として称賛し、証券のトークン化に関する明確な米国規制の必要性を主張した。
競合他社は規制された資産トークン化専門企業と提携して株式トークンを提供しているが、ロビンフッドは独自トークン化エンジンを開発していると、暗号資産製品責任者のソン・リー(Seong Lee)氏はインタビューで述べた。
EUで無期限先物取引、米国で暗号資産ステーキングをローンチ
ロビンフッドは、同社の暗号資産事業推進の一環として、欧州のユーザー向けに暗号資産トレーダーの間で人気の高いデリバティブ商品である無期限先物の取引サービスをローンチする。
取引は、ロビンフッドが2億ドルで買収した最も古株の暗号資産取引所の一つであるビットスタンプ(Bitstamp)経由で処理される。
ロビンフッドはまた、米国在住の投資家向けにイーサリアム(ETH)とソラナ(SOL)のステーキングを導入し、トークン保有者がアプリを離れることなく報酬を獲得できる仕組みを提供する。
さらに、ロビンフッドは今秋後半にクレジットカードサービスに暗号資産報酬を追加し、米国顧客はキャッシュバックを自動的にデジタル資産に投資できるようになる。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Robinhood Pushes Deeper Into Crypto With Own Blockchain, Tokenized Stock Launch