暗号資産、低調な米雇用統計を受けて下落──金価格は上昇し、米国債利回りは低下
  • 8月1日朝発表された米国の弱い雇用統計によって、債券と金は恩恵を受けたが、暗号資産(仮想通貨)と株式は全面的なリスクオフモードに突入した。
  • トランプ米大統領は、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長と、雇用統計を監督する政府高官に対し不満を示した。
  • コインベース(Coinbase)株は18%下落し、暗号資産関連株の中でも特に大幅に下落した。

8月1日の朝に発表された米国の7月の雇用統計は低調であり、さらに6月と5月の数字が下方修正された結果、2020年の新型コロナウイルスによる経済封鎖以来、雇用増加が最も伸び悩んだ3カ月間となった。

このデータによって、パウエルFRB議長は様子見アプローチに終止符を打ち、FRBが9月の次回会合で利下げを再開する方向に舵を切る可能性が高い。

これを受けて、米国10年国債の利回りは14ベーシスポイント(bps)急落し4.22%となった。金の価格は1.5%上昇して1オンスあたり3400ドルとなり、史上最高値に再び近づいた。

それ以外に金利に敏感な資産であるビットコインと株式はどうであったか。米国市場の取引セッション終了まで約90分を残し、両者ともセッション安値をつけており、ナスダックは2.5%下落、ビットコイン(BTC)は3%以上下落し11万3800ドルであった。

ビットコインはそれでもなお、他の暗号資産よりもパフォーマンスが良かった。イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、ビルドアンドビルド(BNB)、ドージコイン(DOGE)はすべて約6%下落した。特筆すべきは、エックス・アール・ピー(XPR)で、わずか2.9%の下落にとどまり、健闘した。

トランプ大統領が苦言

トランプ米大統領は雇用統計発表直後、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」で「ジェローム『手遅れ』パウエルは最悪だ」と述べ、「金利を下げろ」と要求した。 

その後もトランプ氏は、再びトゥルース・ソーシャルで、雇用統計を監督する労働統計局のエリカ・マッケンターファー局長の解任を要求した。マッケンターファー氏が、昨年にバイデン/ハリス陣営を盛り立てるために数字を改ざんし、自身の政権下で事態が悪化しているように見せていると非難したのである。

株式市場では

暗号資産関連株については、聞くまでもない。コインベースは、1日のリスクオフムードと7月31日の期待外れの決算報告が相まって、約18%も急落した。

伝統的金融(TradFi)関連の同業であるロビンフッド(Robinhood)は、わずか3.1%の下落にとどまった。

同じく31日に決算報告を行ったビットコインマイニング企業ライオット・プラットフォームズ(Riot Platforms)は、17%急落し、同業のマラ・ホールディングス(MARA Holdings)は3%値下がりした。

好調であったステーブルコイン発行企業サークル(Circle)は7.5%下落し、ビットコイン財務戦略企業の筆頭、ストラテジー(Strategy)も同様であった。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Crypto Carnage Continues Even as Gold, Bonds Surge on Soft U.S. Jobs Data