アルトコインが主導して暗号資産市場が急騰──ビットコインは狭いレンジで推移
  • 世界的な市場ではリスク許容度が上昇し、アジアの株式と暗号資産が上昇した一方、原油は6月以来最大の週間の下落を記録した。
  • MSCIアジア太平洋指数は0.5%上昇し、5営業日連続の上昇を記録。これは、日米貿易摩擦の緩和を受けて、日本の日経平均株価が2.3%急騰したことが要因だ。
  • 暗号資産の総時価総額は3%増加したが、これはアルトコインの大きな上昇が要因だ。ビットコインの成長は、需要の鈍化とオプション市場でのヘッジ増加により、限定的だった。

8月8日、世界的なリスク選好が強まり、暗号資産(仮想通貨)、株式、ゴールド(金)先物がいずれも上昇した一方、原油価格は週間で6月以来の大幅な下落となった。

トレーダーは、日米貿易摩擦の緩和による追い風とビットコイン(BTC)需要の冷え込み、暗号資産オプション市場におけるヘッジ強化の兆候とのバランスを取ろうとしている。

アジア市場では、MSCIアジア太平洋指数が0.5%上昇し、5日連続の上昇となった。日本の日経平均株価は、アメリカが包括的な関税の重複課税を中止し、同時に自動車関税を引き下げることで合意したと日本政府が述べたことを受け、2.3%上昇した。

ブルームバーグによると、原油価格は週間で4%を超える下落に転じ、ブレント原油とWTI原油はアメリカの在庫増加と中国の輸入統計の弱さから圧迫されている。

暗号資産の時価総額は過去24時間で3%増加し、3兆7600億ドル(約545兆2000億円、1ドル=145円換算)となった。これは主要なアルトコインが牽引した形だ。イーサリアム(ETH)は7.3%上昇の3935ドル、エックス・アール・ピー(XRP)は12%上昇の3.36ドル、ソラナ(SOL)は4.7%上昇の175.19ドル、ドージコイン(DOGE)は8.8%上昇の22セントとなった。ビットコインは1.9%上昇の11万6781ドルと出遅れ、1日の取引高は388億ドル(約5兆6260億円)と低調だった。

FxProのチーフ市場アナリスト、アレックス・クプツィケビッチ(Alex Kuptsikevich)氏は、この反発は「株式市場における買い意欲の高まり」と一致すると述べたものの、BTCは11万2000ドルのサポート(50日単純移動平均線と直近の安値)と12万ドルのレジスタンス(7月の高値と心理的節目)の間の「狭いレンジに閉じ込められている」と警告した。

一方、Glassnodeのデータは、BTCの市場センチメントが「多幸感」から「冷え込み」へと変化していることを示唆している。ビットコイン現物ETF(上場投資信託)の流入は25%近く減少し、ネットワークの活動も低迷し、取引手数料も低下している。

オプションのポジショニングは、8月下旬にかけて10万ドルを下回るBTCのヘッジが増加していることを示唆しており、夏の低迷が続くとの予想の中で、これが保険として機能する可能性がある。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Ether, Dogecoin Rally as XRP Soars 12% in Altcoin-Led Crypto Surge