- 世界的な株式市場への警戒感とドル高により暗号資産市場が低迷する中、ビットコインは10万2000ドル前後で推移した。
- 暗号資産の時価総額は1%増の3兆4000億ドルとなったが、トレーダーは売り圧力が続く可能性を依然として警戒している。
- 一部のアルトコインは小幅な上昇を見せたものの、リスク回避とマクロ経済の不確実性により、暗号資産は引き続き圧迫されている。
ビットコイン（BTC）は11月7日、10万2000ドル前後で推移した。暗号資産（仮想通貨）市場は反発を持続できず、世界的な株式市場の警戒感の再燃とドル高に圧力を受けた。
暗号資産市場の時価総額は過去24時間で1％上昇して3兆4000億ドル（約527兆円、1ドル=155円換算）となった。4日連続の下落後の初の上昇だが、トレーダーらは売りが一時的に止まったに過ぎないと警戒している。
この小幅な上昇は、投資家が主要ハイテク株から資金を引き揚げ、今年のAI（人工知能）関連株の急騰の一部を解消したことに伴うものだ。
ナスダック総合指数とS&P500種株価指数は下落幅を拡大した。トレーダーらは、過熱したAI関連株のバリュエーションやOpenAIの1兆ドル（約155兆円）規模の資金調達計画の持続可能性を疑問視している。リスク回避ムードは暗号資産にも波及しており、アメリカ連邦準備制度理事会（FRB）の最近の金融緩和政策にもかかわらず、投機的な買い意欲は依然として低調だ。
「市場は反転というより一息ついているように見える」とFxProのチーフ市場アナリスト、アレックス・クプツィケビッチ（Alex Kuptsikevich）氏は述べた。「ビットコインは現時点で50週単純移動平均線（SMA）を上回っているが、日足チャートでは売り手が再び主導権を握ろうとしている。マクロ環境が改善しない限り、時間は弱気派の味方だろう」。
暗号資産価格は7日にほぼ全面安となり、世界的な株式市場の弱さを受けてトレーダーのリスク回避姿勢が続いたことで、週間の下落幅を拡大した。ビットコイン（BTC）は過去24時間で1.3％下落して約10万2000ドル、イーサリアム（ETH）は1.1％安の3353ドルとなり、週間で13％の下落幅をさらに拡大した。ソラナ（SOL）は主要銘柄で最大の下落率を示し、1日で1.4%、7日間で15%下落した。エックス・アール・ピー（XRP）は最近のウォレット活動急増後もさらに4%下落した。
主要なアルトコインでは、バイナンスコイン（BNB）とドージコイン（DOGE）が約1%の小幅な上昇を記録し、週前半の大量売りの後の短い息抜きとなった。暗号資産市場の時価総額は3兆4000億ドル（約527兆円）付近で推移し、底値買いの意欲が限定的であることを示唆している。トレーダーらは、米ドル高の流れと持続的なマクロ経済の不確実性がリスク資産への圧力を継続しているため、市場のセンチメントは依然として脆弱だと指摘する。
ハッシュデックス（Hashdex）によると、リスク回避姿勢とFRBの利下げに関する不確実性が暗号資産への圧力を継続させている。一方、ウィンターミュート（Wintermute）は、機関投資家の流動性が伝統的市場へシフトしたため、暗号資産が他の資産クラスに比べて相対的に低調なパフォーマンスを示していると指摘した。
それでも、蓄積の兆候はある。オンチェーン分析企業グラスノード（Glassnode）のデータによると、「蓄積アドレス（accumulator addresses）」（買いのみを行い売却しないウォレット）は過去1カ月で37万5000BTC以上を追加している。
同時に、短期保有者は反発のたびに損失を確定して売却しており、これは調整局面の終盤に典型的なパターンだ。
10万ドル割れは新たな清算を招く可能性があるが、トレーダーらは強気相場の勢いを取り戻すには、安定したマクロ環境と株式市場のセンチメントの決定的な転換が必要だと指摘する。
現時点では、流動性緩和への楽観論と、依然としてリスク回避的な投資環境という現実の間で、市場は板挟みの状態が続いている。
｜翻訳：CoinDesk JAPAN
｜編集：井上俊彦
｜画像：Shutterstock
｜原文：Bitcoin Holds $102K, SOL, XRP, DOGE Pullback as AI Valuations Draw Scrutiny
