- オラクル株の大幅下落を受け、AI関連支出が収益を上回るのではないかという懸念が高まり、米国株は下落した。
- ビットコインとイーサリアムは安定を示し、ビットコインは9万2000ドルを超え、イーサリアムは3260ドルに向けて上昇した。
- オラクルのAIインフラへの設備投資増加は、1月以来最大の株価下落を招き、テクノロジー株のセンチメントに影響を与えた。
米国株は12月12日に下落した。オラクル(Oracle)が約1年ぶりの大幅下落を記録したことで、AI(人工知能)への巨額投資が収益を生み出すより早く財務基盤を圧迫しているとの懸念が再燃したためだ。
一方、暗号資産(仮想通貨)市場は比較的安定的に推移し、トレーダーがリスク選好姿勢を維持したことで、株式市場の下落とは小幅に乖離した動きとなった。
CoinDeskのデータによると、ビットコイン(BTC)は9万2000ドル台を回復した。今週前半の主要な支持線を維持した後、小幅な上昇を継続した。時価総額最大の暗号資産はこの日、約2.6%上昇し、一時的に9万ドル台前半まで下落した変動期を経て、安定している。
トレーダーは上昇を追うよりもトレンド構造の維持に重点を置いており、資金は大型資産に集中している。
BitunixのアナリストはCoinDeskに対して、「主要機関投資家の間では、今後の見通しについて意見が分かれている」と電子メールで述べている。「インフレが改善していることから3月に追加利下げを支持すべきだと主張する向きもある一方で、1月は据え置き、上半期は様子見、あるいは6月以降まで利下げを遅らせるべきだと考える人々もいる」と付け加えた。
そして「ウォール街の複数の企業は、この『タカ派的な利下げ』は、パウエル議長の下で連邦公開市場委員会(FOMC)の結束を維持することがますます困難になっていることを浮き彫りにしていると指摘した」と述べた。
イーサリアム(ETH)はビットコインとともに上向きで、3260ドルに向けて上昇した。一方、ソラナ(SOL)は6%以上の上昇で主要暗号資産を上回り、リスク選好が選択的に戻ったことで、ベータ値の高いレイヤー1トークンへの関心が再び高まっていることを反映した。
エックス・アール・ピー(XRP)とバイナンスコイン(BNB)は小幅な上昇にとどまり、投資家が現物ETF(上場投資信託)や市場全体の動向に関するより明確なシグナルを待つ中、レンジ取引が続いた。ドージコイン(DOGE)は小幅に上昇したが、週ベースでは下落し、トークン固有の要因よりも、より広範な市場センチメントを反映し続けた。
オラクルは、AIデータセンターおよびインフラストラクチャに関連する設備投資が急増したことを明らかにした後、株価が11%以上下落し、1月以来の最大の下落幅となった。
四半期支出は予想を大幅に上回って約120億ドル(約1兆8600億円、1ドル=155円換算)に増加し、通期設備投資見通しは9月予測から150億ドル(約2兆3250億円)増の約500億ドル(約7兆7500億円)に引き上げられた。
この動きはAI投資がクラウド収益にいつ実質的に結びつくかへの新たな疑問を呼び、オラクル株を2024年初め以来の安値に押し下げるとともに、同社の信用リスク指標を16年ぶりの高水準に押し上げた。
この売り圧力は広範なテクノロジー株のセンチメントを押し下げ、特に今年の株式相場上昇を牽引してきたAI関連銘柄に打撃を与えた。ナスダック100種指数は下落し、投資家は慎重に他セクターへ資金をシフトしている。売上高成長だけでなく、支出規律への感度が高まっていることを浮き彫りにした。
市場がアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の見通しの分断化とAI経済への監視強化を消化する中、投資家は引き続き戦術的な姿勢を維持する構えだ。
短期的な方向性は政策シグナルよりも、収益と流動性が資産全体にわたるリスクテイクの次の段階を正当化できるかどうかにかかっている可能性が高い。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin, Ether Steady as AI Fears Send Oracle Tumbling Down, Traders Eye Next Wave of Rate Cuts


