金融とテクノロジー、両業界のさらなる融合が必要──PwC「グローバルフィンテック調査2019」

金融とテクノロジー、両業界のさらなる融合が必要──PwC「グローバルフィンテック調査2019」

世界4大会計事務所・総合コンサルティングファームの一角であるPwCは、世界のTMT企業(テクノロジー、メディア、情報通信企業)とFS企業(金融サービス企業)の幹部508人を対象に「グローバルフィンテック調査2019」を実施、その結果から「金融機関は、フィンテック活用のアイデアをTMT企業に求めるべし」「金融機関とTMT企業は互いに目を向け、スキル不足を補う再訓練が必要」などと指摘。さらに「両業界のさらなる融合」の必要性を説いた。

日本からは47人が回答。グローバルとの認識の差はどこに?

2016年、17年に続く3回目となる今回の調査は、2019年5-6月ごろ、世界のテクノロジー、メディア、情報通信企業(TMT企業)と金融サービス企業(FS企業)の幹部508人に実施された。対象となったTMT企業260人のうち8割がテクノロジー企業。FS企業248人の内訳は、銀行・証券が約半数、保険や資産運用がともに2割前後だった。

地域別では、北米、欧州、アジア太平洋、中南米、アフリカ。TMTではアジア太平洋が最も多く43%。FSは北米が38%、アジア太平洋が32%など。売上高の規模では、10億ドル以上の組織に属している回答者が全体の62%いた。

なお日本からは47人が調査に回答しているという。日本と海外の調査結果を比較したところ、「フィンテックで重要な国」として挙げた国の1、2位が、グローバルでは米国と中国だったが、日本の回答者の1、2位は日本と米国。これを受けてPwCは、「日本のFS・TMT企業は、フィンテック事業の成長見通しを考える時、まずは国内を重視している」と指摘している。

さらに日本における課題として、国・組織全体、経営陣、役職員および従業員全体の「デジタルに関するスキルと知識の不足」を挙げている。

金融機関が最も重要と考えるテクノロジーは「AI」

経営幹部が「変革の原動力になる」と考えるテクノロジーは何だろうか。調査によると、TMT企業、FS企業ではそれぞれの幹部が「変革を促す」と考えるフィンテックの種類は異なっているようだ。

「今後2年間で金融サービスの提供方法を変革すると考えるテクノロジー」を問うたところ、TMT企業はIoT、AI、5G、クラウド、ビッグデータ、ブロックチェーンという順だったが、FS企業(金融サービス企業)はAI、ビッグデータ、クラウド、ブロックチェーン5G、IoTとなるなど、微妙に違いがでている(図参照)。

グローバルフィンテック調査2019

同業界での提携を模索する姿勢は両業界とも同じ

またフィンテックの成長をけん引するために、新たな提携やJVの設立、合併などの計画を持っていると回答した企業に対して、「どの分野とのコラボレーションを検討しているか」を問うたところ、TMT企業もFS企業も「同じ業界での提携」を模索していることが分かった。

ただ、TMT企業とのコラボを検討しているFS企業(金融サービス企業)は35%だったが、FS企業とのコラボを検討しているTMT企業は46%もいた。

「電子マネーと暗号通貨」を懸念に挙げた企業はともに10%弱

各社に「フィンテックの成長見通しに対する影響を考える時、どの分野について懸念しているか」と聞いたところ(図参照)、TMT企業が最も検していたのは「新しいビジネスモデル(クラウドファンディングやP2Pレンディング)」で14.1%。続いて「データの保存、プライバシー、保護」(13.9%)、「デジタルID認証」(12.6%)などと続いた。

一方のFS企業の回答は「データの保存、プライバシー、保護」が14.9%と最多。続いて「デジタルID認証」(12.8%)、「地域の規制圧力・規制の地域ごとの違い」(12.6%)、「KYC(本人確認)」(11.9%)などとなった。

なお「電子マネーと暗号通貨」と答えたTMT企業は9.9%、FS企業は7.7%だった。

PwCは調査を「フィンテックを取り入れ、TMTとFSの強みを融合させ始めている組織は、市場における差別化と成長の機会の大半を獲得するだろう。一方、こういった変化を認識できない組織は、顧客の期待に応えられないリスクを負うだけでなく、アグレッシブな新規参入者が、市場や顧客との関係の構築においてシェアを奪うのを許すことになる」などと締めくくっている。

文・編集:濱田 優
写真:Konektus Photo, Julia.m / Shutterstock.com

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