95%の自信──イーサリアム2.0は第2四半期にローンチするか?

イーサリアムのシステム全体にわたる次のアップグレード「イーサリアム2.0」は、期待された2020年第2四半期にはローンチされないかもしれない。だが研究者らは、フェーズ0の2020年の展開に自信を持っている。「失敗」は考えられないと研究者らは述べた。

当初は2020年1月の予定だった

2020年2月5日(現地時間)、レディット(Reddit)で行われた「何でも聞いて(AMA:Ask Me Anything」で、イーサリアム2.0(Eth 2.0)のチームは、3つのクライアントがテストネットを一貫して最低8週間運用できるまで、イーサリアム2.0をローンチしないと述べた。AMAの参加者には、イーサリアム共同創業者のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏、イーサリアム2.0の研究者のダニー・ライアン(Danny Ryan)氏とジャスティン・ドレイク(Justin Drake)氏が含まれていた。

「2020年内のローンチに95%の自信を持っている」とドレイク氏は述べた。

世界をリードするスマートコントラクト・ブロックチェーンの次のバージョンであるイーサリアム2.0は、プルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake:PoS)を採用し、より高いトランザクションスループットと新しいセキュリティモデルを実現する。しばしば「セレニティ(Serenity)」とも呼ばれるイーサリアム2.0は、2015年のイーサリアムのローンチ以来、開発が進められてきたが、その高度に技術的な性質のために実現が遅れている。

イーサリアム2.0のローンチは当初2020年1月に予定されていたが、その後、2020年第2四半期の未公開の日程に延期された。開発者らは現在、イーサリアムローンチの5周年記念日となる2020年7月30日でのイーサリアム2.0のデビューを狙っている。

「フェーズ0は間違いなく2020年にローンチされる。監査結果は出ており、テストネットは週を追うごとに強力になっている」とライアン氏はAMAで述べた。

「フェーズ0が2020年にローンチされないという現実は考えられない」

まだ課題も残る

ライアン氏とブテリン氏は、イーサリアム2.0はフェーズ0、つまりPoSシステムのゼネラルマネージャーとして機能する「ビーコン・チェーン(Beacon Chain)」を、2つの安定したクライアントでのみ展開できると考えている。しかしイーサリアム2.0の他の研究者らは、より保守的なアプローチを選択している。

2015年、イーサリアムがスタートした当時、パリティ(Parity)のクライアントソフトはゲス(Geth)の後にローンチされ、バリデータは80:20の割合でゲスの方に偏ることとなったとドレイク氏は述べた。

「パリティはゲスに追いつくことができなかった」

ローンチ日に関わらず、フェーズ0とフェーズ1はそれぞれ99%、90%完成しているとライアン氏は述べた。フェーズ1は、資産をステークしたイーサリアム保有者をビーコン・チェーンにリンクし、新しいネットワークのバックボーンに接続する。

第三者によるコードの監査とテストネット──イーサリアム開発企業のニンバス(Nimbus)が2月4日にデモを行なった、アンドロイドスマートフォンで実行可能なライトクライアントなど──が未解決の課題になっているとイーサリアム2.0の研究者、ディエデリク・ロエラカー(Diederik Loerakker)氏は述べた。

春の大掃除

この先の数カ月には、イーサリアム2.0のローンチに参加しようとしているイーサリアム保有者にとって、もう1つの主要なアップデートも行われる。「ステーキング・コントラクト」だ。

PoSネットワークとして、イーサリアム保有者はネットワークを保護・認証するために保有するイーサリアムをステーキングすることで報酬を得る。イーサリアム2.0では、バリデーターとして参加するために32イーサリアム、約6400ドル(約70万円)が必要となる。

イーサリアムをステーキングするためのコントラクトは監査中で、この春の大きなイーサリアムイベントで発表される予定とライアン氏は述べた。チームは、バリデーター数は数百万にのぼる可能性があり、ある研究者はイーサリアムの供給量の最大10%がイーサリアム2.0でステーキングされる可能性があると述べた。現在、時価総額は230億ドル(約2兆5000億円)にのぼる。

イーサリアム2.0チームは最後に、プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work:PoW)ネットワークである現在のネットワークをイーサリアム2.0に組み込む方法の検証を続ける。

方法には「イーサリアム1.5」と呼ばれる2つの選択肢が提案されている。

ブテリン氏が12月にブログで詳細に説明したように、イーサリアム1.xを「ステートレスクライアント」に移行するか、あるいはイーサリアム1.xを「現状のまま」イーサリアム2.0のビーコン・チェーンに統合するかだ。

つまり、現在のイーサリアムブロックチェーンを古いPoWのトランザクションの真正性を証明するデジタルレシートに整えるか、新しいチェーンが完全に構築されるまで、イーサリアム1.xを相互運用性ブリッジを介してイーサリアム2.0内で動作させることになる。

ブテリン氏が指摘した通り、前者の選択肢──デジタルレシート──に「風が吹いている」ようだ。だが、ステートレスクライアントの「技術的な実現可能性」や「必然的な13秒ごとのメガバイトサイズのブロック」といったきわめて大きな課題が残っている。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Vitalik Buterin image via CoinDesk archives
原文:‘95% Confidence’: Ethereum Developers Pencil In July 2020 for Eth 2.0 Launch