「キャッシュレス決済」導入する中小向け低利融資──日本政策金融公庫

キャッシュレス決済が中小企業の資金繰りを圧迫している実態を受け、日本政策金融公庫は、これからキャッシュレス決済を導入する中小・小規模事業者の資金繰りを支援するための低利融資制度の創設した。経済産業省は導入の背景として、「入金までの時間が長くなることにより、資金繰りが悪化するのではないかとの懸念を持つ方」の存在を指摘している。

限度額2.5億円、利率は0.4%

キャッシュレス決済は文字通り現金を介さない支払手段のため、中小の小売店などでは、日々の売り上げが現金として入金されるまでに時間がかかったり、キャッシュレス決済事業者によっては入金のタイミングが異なったりすることから、運転資金が足りなくなるケースもある。手数料も中小店舗には重くのしかかる。

キャッシュレス推進協議会が1月に発表した調査では、回答した中小約1100店のうち、およそ2割がキャッシュレスを導入したことで入金サイクルが変わり、資金繰りに困ることがあると答えている。

こうした実態を受けた今回の低利融資制度。対象は「卸売業、小売業、飲食サービス業及びサービス業を営む事業者のうち、キャッシュレス決済の導入により生産性の向上を図る方を対象に、キャッシュレス決済に対応するために必要な運転資金」とされている。融資限度額は、中小企業事業では2億5,000万円で、利率は0.4%だ。なお同公庫ではこの制度のほかにも企業活力強化資金を紹介している。

キャッシュレス決済事業者ごとに入金サイクルなど条件・内容が異なる点については、各決済サービスを比較検討できるよう、ポイント還元事業(経産省、キャッシュレス推進協議会のWebサイトで情報が公開されている。

文・編集:濱田 優
画像:aslysun / Shutterstock.com