バイナンスのステーブルコイン、1億ドル突破もライバルの背中はまだ先

バイナンスの米ドル連動ステーブルコイン「BUSD」は時価総額1億ドルを超えた。依然としてテザーの「TUSD」が支配的な市場を切り崩そうとしている。

バイナンスでの取引ではまだテザー優位

ステーブルコイン「バイナンスUSD(BUSD)」は仮想通貨取引所バイナンスでほぼ独占的に取引され、現在、時価総額──発行元のパクソス(Paxos)に預けられた米ドルの金額とほぼ一致する──は1億15000万ドル(約120億円)にのぼる。BUSDはイーサリアムブロックチェーン上で動いている。

ステーブルコインはブロックチェーンを基盤とし、米ドルのような伝統的な資産や通貨と連動している。主に仮想通貨取引所での取引に使われる。取引所では一般的に仮想通貨/法定通貨のペアは規制上の理由により利用できないためだ。

BUSDは、米連邦預金保険公社(FDIC)の認可を受けた銀行に預けられた米ドルに裏付けられ、毎月、監査を受けている。

バイナンスは米ドルを使った仮想通貨取引ができない取引所の1つ。そのためBUSDのようなステーブルコインは重要だ。

同取引所は、BUSDよりもはるかに取引高の多いテザー(USDT)をはじめ、複数のステーブルコインを扱っている。CoinGeckoによると、BUSDでの取引の約40%はテザーで、BUSD/BTCのペアは35%で2番目になっている。

実際、バイナンスに上場されているほぼすべての資産はテザーとペアになっており、かなりの取引高になっている。例えば、USDT/BTCのペアの取引高は過去24時間で6億1100万ドル、一方、BUSD/BTCのペアはわずか1600万ドルだ。

新たな選択肢になるか

だが、早期の成長によってBUSDはテザーを打ち破る可能性がある。ニューヨークに拠点を置くパクソスは、BUSDの時価総額は先月400%以上増加し、2200万ドルから1億1500万ドルになったとCoinDeskに語った。

「BUSDの目覚ましい成長は市場が別の選択肢を求めていることを示している。我々はこのマイルストーンに興奮し、バイナンスと提携して世界中のユーザーに最適なソリューションを提供していることを誇りに思う 」と3月11日、パクソスの共同創業者、リッチ・テオ(Rich Teo)氏は声明で述べた。

テザーの時価総額は46億ドル、ニューヨーク州司法長官と財務上の問題から法廷で争っている。テザーは準備金の正式な監査を受けていないが、定期的に更新される透明性についてのページを持っている。

BUSDのほかに、サークル(Circle)やコインベースのUSDCなど銀行が監査を行うステーブルコインの時価総額は4億600万ドルにのぼる。パクソスもまた、自社ブランドのステーブルコインであるパクソス・スタンダード(Paxos Standard)を持ち、時価総額は2億600万ドルにのぼる。

翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:Binance Stablecoin BUSD Tops $100M but Lags Behind Rivals