リブラ協会、初代CEOを指名──HSBCの最高法務責任者

リブラ協会は、初代CEOに世界有数の金融機関HSBCの最高法務責任者スチュアート・リービー(Stuart Levey)氏を指名した。

元財務次官

リブラ協会(Libra Association))5月6日、リービー氏は「2020年夏の後半」に参加し、「技術革新を堅牢なコンプライアンスと規制の枠組みに組み合わせる」ための取り組みを監督すると発表した。リービー氏は2012年からHSBCに在職している。

リービー氏は、ジョージ・W・ブッシュ大統領とバラク・オバマ大統領のもとでテロ・金融情報担当の財務次官を務めた経験があり、金融における不正と戦った経歴を持つ。

プレスリリースによると、リービー氏はまた、米外国資産管理局(Office of Foreign Asset Control)における制裁執行や、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)におけるアンチマネーロンダリング規制も監督していた。

「リブラ協会がテクノロジーの力を活用して世界の決済環境を変革するための大胆な道筋を描くなか、私はリブラ協会に参加できることを誇りに思う」とリービー氏は声明で述べた。

「テクノロジーは個人や企業がより簡単にお金を送受信できるようにし、これまで金融システムの外側に取り残されてきた10億人以上の人々に力を与え、不正な金融活動を検知し、抑止するための強固なコントロールを提供する」

リービー氏は、各国の政府や規制当局と連携してリブラを構築していくことを楽しみにしていると述べた。

活動を活発化させるリブラ

リブラ協会は最近、世界的な非営利団体「Heifer International」やeコマースサイト「Checkout.com」などの新たなメンバーを発表するなど、多くの動きを見せている。またスイス金融市場監督機構(FINMA)から決済ライセンスを取得する手続きも開始している。

リブラ協会は、当初2020年上半期としていたステーブルコイン「リブラ」のローンチ日の変更については発表しなかった。2020年4月、リブラ協会は当初の構想を修正、単一のグローバルステーブルコインの発行を目指した計画を縮小し、各国の法定通貨に裏付けられた複数のステーブルコインの発行を目指している。

リブラ協会の理事で米大手VCアンドリーセン・ホロウィッツのパートナー、ケイティ・ハウン(Katie Haun)氏は「リービー氏は政府と民間の双方でのリーダーシップという貴重な経験をリブラ協会にもたらしてくれる。政府では党派を超えた尊敬と影響力を持ち、民間企業では世界中に広がるチームをマネジメントしていた」と声明で述べた。

ハウン氏は「このユニークな経験によってリービー氏は、銀行、金融、規制政策、国家安全保障に関する豊富な知識をリブラ協会にもたらし、技術革新と規制の間の適切なバランスを実現する」と付け加えた。

翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸
写真:U.S. State Department
原文:Libra Association Names HSBC Chief Legal Officer as First CEO