教育のブロックチェーンを始めるために越えるべき3つのハードル:経済産業省が報告書

教育のブロックチェーンを始めるために越えるべき3つのハードル:経済産業省が報告書

Brady Dale
公開日:2019年 4月 23日 17:00
更新日:2019年 4月 23日 18:25

ブロックチェーンが研究データの改ざんを防いだり、大学での学位や履修履歴データの保管に利用される可能性は多く語られるようになった。しかし、その技術の利用が教育領域で広がるためには、越えるべき3つの大きなハードルがあるという。

経済産業省は2019年4月23日、「学位・履修履歴の証明」や「研究データの信頼性の確保」をテーマに、大学・研究機関におけるブロックチェーン技術の適用可能性に関する調査報告を発表した。

調査は、「学位・履修履歴の証明」については、国外含む学修形態や就労形態の多様化に対応するため、ファクトベースの客観的なデータをブロックチェーンの分散台帳で記録し、大学の学位や企業での経歴における真正性を担保することを想定。報告書は「(大学や企業など)発行者が不在となった場合に、その発行者によって過去に発行された証明書を正しく検証することにおいて適用が可能」と述べた。

出典:経済産業省「平成30年度産業技術調査事業報告書」より

研究機関や企業におけるデータ不正が年々増加傾向にある中、調査は「研究データの信頼性確保」という点においても行われた。調査では、研究データをブロックチェーンの分散台帳に記録するスマートコントラクトを活用して、研究プロセスそのものにおいて検証を行いながら進める基盤(プラットフォーム)を想定した。

報告書は、すでに国内外の一部組織において信頼性がある程度確保された中央集権的なシステムが稼働しており、コスト優位性をもって正常に機能している限りブロックチェーン技術を無理に適用する必要はないと結論づけた。

出典:経済産業省「平成30年度産業技術調査事業報告書(概要版)」より

同調査報告では、総論として下記の3つを克服すべき課題として挙げ、これらを順次解決していくことが社会実装に向けては必要だと言及。

技術面:①秘密鍵の安全な管理・利用の方法、②そもそものデータを入力する際の信頼性の確保の方法等

経済面:①高いUXの実現、②ブロックチェーン技術利用の必然性、③マネタイズモデル等

制度面:①プライバシーの保護、②知る権利や忘れられる権利との整合性等

出典:経済産業省「平成30年度産業技術調査事業報告書(概要版)」より

教育領域におけるブロックチェーン技術の適用について、今後もハッカソンなどの実証実験を行い、環境整備に向けた取り組みが必要だと報告した。

「海外においても複数の適用事例が生まれてきている中、本調査を通じて明らかになった課題をもとに、今回のように実証実験ができるハッカソンのような場やブロックチェーン技術の標準化に貢献できる環境整備への取組が、引き続き必要と考えます」(報告書)

編集:佐藤茂、久保田大海