ライトニングネットワークのソフトウェアをメインネットで公開。Nayuta、日本で初めて

ビットコインのライトニングネットワークの研究開発を行なっているNayutaは2019年4月30日、大量のトランザクションを即時に処理できる技術「ライトニングネットワーク」のソフトウエア、Ptarmigan(ターミガン)をメインネットでリリースした

ライトニングネットワークは、ビットコインのブロックチェーンの上に、ペイメントチャネルを応用した決済ネットワークを作り上げ、そこで決済を行う技術。即時に大量のトランザクションを処理することができ、一円未満の少額取引にも適している。 ターミガンは、共通の仕様BOLTに基づいたソフトウエア「c-lightning」「lnd」「eclair」に次いで、世界で4番目、日本では最初のメインネット版ライトニングネットワークとなる。

NayutaはIoT(モノのインターネット)時代を見据えて、ライトニングネットワークに取り組んできた。さまざまな機器がインターネットにつながり、膨大な数の決済が行われるようになると、それを瞬時に処理するためのネットワークが必要になるからだ。

ターミガンは、小型なハードウエアで動作するノードに特化している。同社代表取締役の栗元憲一氏はCoinDesk Japanの取材に対し、「ライトニングネットワークでは、何がキラーアプリになるか、まだ分からない。アプリケーションの基礎となるプロトコル部分を理解する必要がある」と述べた。

同社がターミガン開発に本格的に取り組み始めたのは、2017年1月ごろ。詳しい経緯などはブログにも載っている。栗元氏は「(ライトニングネットワークを動かすための共通の仕様である)BOLTを読むだけでは、並行処理をどうするかなど、分からない部分が多い。知見をためる意味でも、実際にやってみる必要があると考えた」と語った。

リリースされたターミガンは現在Reckless version(ベータ版)。「バグが含まれるため失っても問題のない少額での利用」を推奨した上で、栗元氏は「まずはユーザーやレビュワー、開発者に使ってほしい。フィードバックを今後の開発に生かしたい」と語った。

同社は、小型の機器でライトニングネットワークを介した支払いをするデモ映像も公開した。Nayutaのショップでは、Lightning Networkのプロトコルを利用した簡単な電子工作のキットも提供する。

リリース資料より

文:小西雄志
編集:浦上早苗