セガの「三国志大戦」をもとにしたブロックチェーンゲーム、三菱UFJがステーブルコインとデジタル証券のクロスチェーン決済を商業化へ【9/24~9/30のトップニュース】

アジアを中心にブロックチェーンゲームが徐々に普及していく中、ゲームプレイのための暗号資産用ウォレットの開設や、ゲームへの接続の複雑さはユーザーにとっての大きな課題の一つだ──今週のトップニュースをダイジェストで振り返ります。

イーサリアムマイナーの保有残高3億1900万ドル、市場の大きなハードルに

イーサリアムブロックチェーンの大規模アップグレード「Merge(マージ)」が9月15日に完了するまでの数年間、イーサリアムマイナーは約3億4100万ドル(約487億円)相当のイーサリアム(ETH)を貯め込んできた。

Mergeから約1週間、暗号資産アナリストはマイナーによるイーサリアムの売却が短期的な下落圧力になる可能性があると警告している。イーサリアムはすでに過去1カ月で約19%下落している。

Github、トルネード・キャッシュのコードリポジトリを再掲載

イーサリアムベースのミキシングサービス、トルネード・キャッシュ(Tornado Cash)のコードリポジトリが9月22日、ギットハブ(GitHub)に再掲載された。

米財務省外国資産管理局(OFAC)は8月、取引を匿名化する分散型プライバシーサービスのトルネード・キャッシュをアメリカ人が利用することを禁止した。トルネード・キャッシュは、北朝鮮のハッキンググループ「ラザルス(Lazarus)」が過去に使っていたことでブラックリストに掲載され、制裁対象となった。

暗号資産は引き続きリスク資産として取引:バンカメ

暗号資産(仮想通貨)は依然としてリスク資産として取引され、世界的な金利上昇を受けて下落していると、バンク・オブ・アメリカは9月23日、レポートに記した。

だが回復へのポジティブなサインとして、ステーブルコインの取引所への流入が見られるという。先週、ステーブルコインの取引所への流入額は4億9000万ドル(約704億円)となり、前週から58%増加した。

DARPA、暗号資産が国家安全保障にもたらすリスクをリサーチ

DARPA(Defense Advanced Research Projects Agency、アメリカ国防高等研究計画局)は、デジタル資産データ分析企業のインカ・デジタル(Inca Digital)と契約、暗号資産(仮想通貨)が国家安全保障にもたらすリスクをリサーチする。

DARPAは米国防総省の研究開発機関、インターネットの起源となったネットワークを構築したことで知られている。リサーチプロジェクトは「Mapping the Impact of Digital Financial Assets 」と名付けられた。

ファイルコイン、ストレージ提供者が年初から7倍に

分散型ファイル共有プロトコルのファイルコイン(Filecoin/FIL)は、2023年はじめの大規模アップグレートを前に、年初からストレージ供給者が約7倍に増加した。

開発元Protocol Labsのコリン・エブラン(Colin Evran)氏は9月26日、この日スタートしたFIL Singaporeでストレージ提供者は毎月20%増加しており、最も活発なのは北米、韓国、香港と語った。エブラン氏によると、現在約7000人の開発者がファイルコインブロックチェーン上でアプリケーションを構築しているという。

Best Universities for Blockchain 2022──トップ10大学に2校入った国とは?

米CoinDeskは「2022 Best Universities for Blockchain Rankings」を発表。ランキングでは世界240校を対象に、研究論文の数と影響力、科目、学位、カンファレンス、クラブ、業界とのパートナーシップや助成金、卒業後の就職先とその評判など、多くの基準を調査した。

ランキングトップ10は以下のとおり。

1位:香港理工大学(香港)
2位:シンガポール国立大学(シンガポール)
3位:チューリッヒ大学(スイス)
4位:カリフォルニア大学バークレー校(アメリカ)
5位:コーネル大学(アメリカ)
6位:清華大学(中国)
7位:ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(イギリス)
8位:スタンフォード大学(アメリカ)
9位:ニュー・サウス・ウェールズ大学(オーストラリア)
10位:南洋理工大学(シンガポール)

なお日本からは、東京大学が40位にランクインした。

ブロックチェーン研究が盛んな地域は?──Best Universities for Blockchain 2022【論文発表数】

米CoinDeskは「2022 Best Universities for Blockchain Rankings」を発表。トップ10大学にアメリカから3校がランクインした一方で、興味深いことにシンガポールから2校が入った。

さらに調査の過程で最も興味深かったことは、研究論文の集中度。論文が世界のどの地域で発表されているのかを調べると、アジアが圧倒的に多く、その差は歴然としていた。

韓国当局、テラ共同創業者関連の100億円弱のビットコインを凍結へ

韓国当局は暗号資産(仮想通貨)取引所のOKXとKuCoinに、Terraform Labs共同設立者ドー・クォン(Do Kwon)氏に関連した3313ビットコイン(BTC)、約6700万ドル(約97億円)相当の凍結を要請した。CoinDesk Koreaが9月27日に伝えた。

3313BTCは、9月14日に韓国でクォン氏に逮捕状が出された直後に取引所のデジタルウォレットに転送されたという。当局はクォン氏を同国の証券法違反で告発している。

「安全な逃避先はない」ドル高の影響を語るベテラントレーダー

「安全な逃避先(=安全資産)はない」とeToroの暗号資産コンサルタント、グレン・グッドマン(Glen Goodman)氏は9月27日、CoinDesk TVに出演し、米ドルの上昇による暗号資産、世界中の通貨、さらには米国債の値動きに触れた。

「我々は、世界中の巨額のお金がドルに流れ込むという問題を抱えている。つまり、他のすべてが枯渇している」(グッドマン氏)

マクラーレンF1、暗号資産にインスパイアされた新カラーリング公開──シンガポールGPと日本GPで使用

F1(フォーミュラー1)のマクラーレン・レーシング(McLaren Racing)は9月27日、暗号資産取引所OKXとのパートナーシップに基づく新しいカラーリングを発表した。シンガポールGPと日本GPの2連戦で使用するという。

新しいカラーリングは「フルーロパパイヤ」と呼ばれるオレンジが印象的なマクラーレンの2022年型マシン「MCL36」に、暗号資産にインスパイアされたダイナミックなエンジンのイラストが描かれている。マクラーレンは、暗号資産やWeb3などからの新しいテクノロジーの出現を表していると語った。

セガの「三国志大戦」を基に制作したブロックチェーンゲーム、Oasysチェーンに登場

セガの対戦型カードアクションゲーム「三国志大戦」を基に、double jump.tokyoが開発したブロックチェーンゲームがOasysのチェーン上に登場する。

ゲームに特化したブロックチェーンの開発を進めるOasysの発表によると、このゲームはセガが三国志大戦のライセンスを許諾し、double jump.tokyoが開発したもの。Oasysのレイヤー2チェーンである「Home verse」上て展開されるという。

デジタルユーロ、EU域外まで普及する可能性がある:ラガルドECB総裁

デジタルユーロがEU(欧州連合)の枠組みを超えて普及することは「十分にあり得る」と欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は語った。

デジタルユーロは「ボーダーレス」かつ「規制され、適切に監督」されるべきとラガルド総裁は9月28日に開催されたイベントで述べた。

「だが、デジタルユーロは国境を越えた決済を大きく促進することができる。だからこそ、アメリカ、ヨーロッパ、そして他の地域の当局間で詳細を検討する必要がある」(ラガルド総裁)

SWIFT、暗号資産と伝統的資産を扱えるネットワーク構築へ──チェーンリンクと連携して概念実証

銀行間の国際決済をサポートするSWIFT(スイフト:国際銀行間通信協会)は、チェーンリンク(Chainlink)と連携してクロスチェーン・インターオペラビリティ・プロトコル(CCIP)の初期概念実証(PoC)に取り組んでいる。

この取り組みは分散型台帳技術(DLT)、いわゆるブロックチェーンの普及を加速させ、資本市場のさまざまな機関に利益をもたらすとチェーンリンクの共同創業者セルゲイ・ナザロフ(Sergey Nazarov)氏は9月28日、ニューヨークで開催されたイベント「SmartCon 2022」で語った。

クリスティーズ、NFTアートに特化したプラットフォーム開設

大手オークションハウスのクリスティーズ(Christie’s)は9月28日、NFTアートに特化したプラットフォームを開設。オークションのすべてのプロセスをイーサリアムブロックチェーン上で完結できるという。

「クリスティーズ3.0(Christie’s 3.0)」と名付けられた新しいプラットフォームは、ブロックチェーンデータ企業のチェイナリシス(Chainalysis)、NFT発行プラットフォームのManifold、メタバース開発会社のSpatialの協力を得て構築された。

ビットコインブロックチェーンでステーブルコイン発行が可能に──ライトニングラボがソフトウェアのテスト版公開

ライトニングネットワーク(Lightning Network)のインフラ開発を手がけるライトニングラボ(Lightning Labs)は9月28日、ビットコインブロックチェーン上でステーブルコインを発行し、送受信できる新しいソフトウェア「Taro」のテスト版を公開した。

Taroは4月に導入されたアップデート「タップルート(Taproot)」によって可能になったプロトコル。ビットコインブロックチェーン上でステーブルコインなどのアセットが発行できるようになり、発行されたアセットはライトニングネットワーク上で転送され、即時・大量・低手数料の取引が可能になる。

JPX、ESG投資のデジタル債で研究会──社債型セキュリティトークンの普及目指す

日本取引所グループ(JPX)は9月28日、傘下のJPX総研を通じて「ESG投資におけるデジタル債の活用に関する研究会」を設立したと発表した。ブロックチェーン上で発行・取引できる社債型のデジタル証券(セキュリティトークン)の普及を進める上での課題を議論する。

研究会は、三菱UFJ信託銀行や三井住友信託銀行、ゴールドマン・サックス証券などの大手金融機関や、ソフトバンク、日本航空、日立製作所、富士通、清水建設など、60を超える企業で構成され、野村證券が事務局を務める。

チームラボがNFT、文字を書き換えられる奇抜な作品

チームラボは9月28日、7つのNFT作品「Matter is Void(物質は空虚という意味)」を、ペースギャラリーのNFTプラットフォーム「Pace Verse(ペース・バーソ)」で発表し、10月19日(米国東部時間)から販売を開始すると発表した。

この作品は10月20日~23日の間、スイスのバーゼルで毎年開かれる世界最大級の現代アートフェアであるアート・バーゼルが、パリで開催するアートフェアで展示される。7作品のうち一つは文字が書き換えられ、ニューヨークのタイムズ・スクエアなどの巨大ビルボードで公開されるという。

三菱UFJ、ステーブルコインとデジタル証券のクロスチェーン決済を商業化へ──Datachain社と提携

ブロックチェーンを基盤に、デジタル証券やデジタル通貨の発行・取引プラットフォームを開発する三菱UFJ信託銀行は、異なる複数のチェーン上で取引されるデジタル証券を即時決済できる仕組みを開発する。

三菱UFJ信託が組成した「デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)」は、今年4月に資金決済ワーキンググループ(WG)を設立し、開発協議を進めてきた。

DCCのコアデベロッパーである三菱UFJ信託は、異なる複数のブロックチェーンにまたがり、デジタル証券の取引を法定通貨に連動するステーブルコインで即時決済する仕組みを開発し、2024年までの商業化を目指す。チェーンの相互運用を得意とするテクノロジー企業のDatachain社と共同でこの取り組みの検証を行う。

|文・編集:coindesk JAPAN編集部
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