SBIアートオークション、アートにブロックチェーン証明書を発行──スタートバーンと共同イベントを開催

SBIアートオークション、アートにブロックチェーン証明書を発行──スタートバーンと共同イベントを開催

Brady Dale
公開日:2019年 5月 3日 12:30
更新日:2019年 5月 4日 09:37

SBIアートオークションは2019年4月26・27日にオークション「Modern and Contemporary Art」を開催。アートビジネスへのブロックチェーン活用を目指すスタートバーンと共同で、落札した希望者にアート作品の所有権などを記したブロックチェーン証明書を発行した。また4月26日に、スタートバーン代表取締役・施井泰平氏と最高執行責任者・大野紗和子氏によるトークイベントが行われた。

スタートバーン代表取締役CEO・施井泰平氏(写真右)と取締役COO・大野紗和子氏(写真左)。

アート業界がブロックチェーンに期待する3つの領域

施井氏はプレゼンテーションの中でアート業界におけるブロックチェーン活用事例を紹介。ブロックチェーンの分割所有権(フラクショナル・オーナーシップ)の取引プラットフォームを目指す「Maecenas」は、アンディ・ウォーホルの作品の31.5%の権利を販売して、170万ドル(約2億円)を売り上げた。また仔猫育成ゲームの「CryptoKitties」では、ブロックチェーンで管理されるデジタルアートの画像が約1300万円で取引されるなど、すでに世界中でアートとブロックチェーンに関わる30以上のプロジェクトが存在するという。

アート業界におけるブロックチェーン活用事例。

続けてブロックチェーンがアートマーケットに与える影響を「①プロブナンス(来歴)の管理」「②アートの分割所有、アート投資の民主化」「③限定販売やデジタルアートの販売管理」の3つの領域に整理。

①は作品を誰が所有していたかの来歴管理であり、②は「アートコレクションは従来はお金持ちのたしなみとして愛好されることが多かったが、今後はアートの所有権を100分割、1000分割していくことで、普通の人でも購入できるようになる」(施井氏)と説明。

③については、デジタルアートは複製可能であったため、複製できるものを大きな金額で購入することはできないという心理があった述べ、ブロックチェーン上でデータを紐づけて所有権を明確にすることで、デジタルアート自体を従来のアートマーケットに位置づけることができるとの見方を示した。

アート業界がブロックチェーンに期待する「来歴管理」「証券・投資」「デジタル市場」。

投資財としてのアートの価値を高められるか

スタートバーンが開発するアート・ブロックチェーン・ネットワーク(ABN)は、取引証明書の共通規格をつくり、その証明書に紐づく作品が取引されることによって自動的にプロブナンス(来歴)が記録され、二次流通を可能にするアイデアを盛り込む。eコマース(電子商取引)やオークションサービスだけではなく、公共施設や真贋鑑定サービス、さらには証券化・信託化サービスなど、世界中のアート関連組織をブロックチェーンでつないでいく計画だと施井氏は説明した。

アート・ブロックチェーン・ネットワーク(ABN)の提供イメージ。

ブランド品の流通では、二次流通の管理が課題になっている。たとえばブランド企業がブロックチェーン上に証明書を発行して、そのブランドが許可した二次流通業者しかマーケットで取引できないように管理する仕組みが可能になる。アートでいえば、アート保険に入っていないと展示に出せないなど、二次流通のコントロールができるようになる。証明書は、アーティスト・コレクター・オークションハウスのそれぞれにとってインセンティブのある仕組みになると話した。

またアート・ブロックチェーン・ネットワークの今後について施井氏は「どうやるかは未定」としながらも、コレクターにとってのインセンティブとして、通常はコレクターが100万円で作品を購入したものを200万円で売るときのキャピタルゲインとしてしか利益を生むことはなかったが、作品を所持している間にインカムゲインを得られる仕組みを現在考案中だと述べた。

インカムゲインを得られる仕組みを考案中。

アート市場全体の良循環につなげていく

大野氏は、今回のSBIアートオークションとスタートバーンの取り組みについて、オークションで作品を落札された方のうち、希望者に無料でブロックチェーン証明書を発行するものだと説明。証明書にはカタログ等に記載されている作品に関する諸情報のほか、SBIアートオークションで落札された作品であることを示す来歴が記載されるという。

データは複数のコンピューターで分散的に保持され(P2Pネットワーク)、一社が管理するデータベースと比べて改ざん・データ消失の恐れが低くなるとブロックチェーン技術のメリットを述べた。またプライバシーに対する懸念に対しては、ブロックチェーン上に記載される所有者の情報はあくまでIDに似たアドレスの文字列のみであり、個人を特定する情報は記載されないと説明した。

参加者からの質問を受け付けるQ&Aセッションでは、「プライバシーは大丈夫か」「真贋鑑定は誰が行うのか」「ブロックチェーン上のデータと実物のアート作品との結びつきはどう証明するのか」など、ブロックチェーン証明書の発行に関連するより詳細な質問が多くなされた。

「今回のSBIアートオークションとの取り組みを通じて、アーティスト・コレクター・オークションハウスのそれぞれにとってインセンティブを拡張し、アート市場全体の良循環につなげていきたい」(施井氏)

文・写真:CoinDesk Japan編集部
編集:久保田大海