- ビットコインは、マクロ経済のイベントが続く中、現物ETFの低調な状況を評価するトレーダーの影響を受け、11万2000ドル付近で推移した。
- ドージコインは24セントまで急騰し、アメリカ初のミームコインETFの立ち上げを前に主要コインをアウトパフォームした。
- 投資家は弱気な見方と機会損失の可能性との間で板挟みになっており、アメリカの経済指標とFRBの政策決定に注目している。
ビットコイン(BTC)は9月8日に11万2000ドル前後で推移し、トレーダーがマクロ要因をポジション調整の指針として検討する中、狭いレンジ内での動きが続いた。
イーサリアム(ETH)は4310ドル近辺で取引され、エックス・アール・ピー(XRP)は2.96ドルを維持、バイナンスコイン(BNB)は880ドル、ソラナ(SOL)は218ドルまで上昇した。ドージコイン(DOGE)は週11.6%の24セントまで上昇し、主要暗号資産(仮想通貨)の大半を上回った。初のミームコインETF(上場投資信託)が11日にアメリカで取引開始となる見通しだ。
市場の基調は慎重なままだった。シグナルプラス(SignalPlus)のインサイト担当責任者であるオーガスティン・ファン(Augustine Fan)氏はCoinDeskへのメモで「暗号資産価格は先週の大半で横ばいだったが、BTCは他のコインだけでなく、株式やゴールド現物に対しても顕著に遅れを取った」と指摘した。ETFでの買いが軟調なことや、中央集権型取引所でのオンランプ活動が後退していることを示した。
ファン氏は「短期的な見通しはやや厳しく、厳しい季節要因を踏まえた防御的姿勢が望ましい。DATプレミアムの圧縮と下落時のネガティブ・コンベクシティのリスクに注意が必要だ」と述べた。DATとは、ここ数カ月で急増したアメリカの上場企業が保有する大量の暗号資産を意味する。
マクロ要因が膠着状態を打破する可能性もある。FXTMのシニアマーケットアナリスト、ルクマン・オトゥヌガ(Lukman Otunuga)氏はメールで「アメリカの経済指標と中央銀行の決定が集中する今週は市場にとって決定的な週となるだろう」と述べた。
同氏はさらに、消費者物価指数(CPI)の鈍化や雇用統計の下方修正はアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ論を強め、ドル安を招いて代替資産を押し上げる一方、堅調な数値は利上げ継続論を後押しして暗号資産全体のボラティリティを高めると指摘した。この押し引きはポジション動向にも反映されている。
「投資家は下降リスクと上昇局面を逃すリスクの間で板挟みだ。底値買いが早すぎる可能性もある」とPoly Max Investmentの創設者、ジャスティン・ダネサン(Justin d’Anethan)氏は指摘した。同氏は、ストラテジー(Strategy)のS&P500銘柄への採用可能性に関する噂が薄れ、企業資金運用ブームに冷や水を浴びせたものの、上場企業は現在約100万BTCを保有していると述べた。
「大局的に見れば、BTCが11万1000ドル前後で推移している現状は、長期保有を信じる者にとって好都合だ。上昇相場における10~15%の下落は、歴史的にトレンドを崩したことはない」とダネサン氏は語った。
トレーダーにとってのチェックリストは単純明快だ。政策の方向性を見極めるにはCPIとPPI(生産者物価指数)を、クロスアセットのリスク選好度を測るにはドルを、償還に伴う反射的な売りの再燃の兆候を察知するにはDATプレミアムを注視すべきだ。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Bitcoin Crosses $112K As Traders Brace for Data Week; Rotation Lifts SOL, DOGE


