オランダ捜査当局、ミキシングサイトを凍結。「利用の大半が犯罪関連」

オランダの経済情報査察部(FIOD)は、欧州警察機関(ユーロポール)などと協力して捜査を実施し、仮想通貨ミキシングサイトを凍結した。

欧州警察機関は 2019年5月22日(現地時間)、昨夏からの捜査の結果、「この種の仮想通貨ミキシングサービスに対する法執行措置」として、ベストミキサー・ドット・アイオー(Bestmixer.io)を凍結したと発表した。警察は、捜査の一環として、ルクセンブルクやオランダに点在していた、6つのサーバーを押収した。

ベストミキサーのようなコインミキサー、もしくは「タンブラー」は、ユーザーの資産をプールし、新たなトランザクションを複数作成することで、元の資金源をわかりにくくする。ユーザーは送金する資産に手数料を追加し、完全に新しいアドレスから送金した金額を受け取る。

欧州警察機関は、ベストミキサーで利用されたお金のうち、大半の資金源や送金先は犯罪に関連しており、ミキサーは犯罪関連の資金フローを隠蔽し、洗浄するために使用されたとしている。欧州警察機関によると、同社が2018年5月に創業して以来、ミックスした資産は約2万7000ビットコインに上る。

「このベストミキサー凍結から、純粋に仮想通貨から仮想通貨へ交換するサービスに対する法執行活動が増えつつあることが分かります」と、仮想通貨セキュリティー企業、サイファートレース(CipherTrace)のCEOデーブ・ジェバンス(Dave Jevans)氏は語る。

同氏は以下のようにも語っている。

「 ヨーロッパで第5次マネーロンダリング対策指令(AMLD5)が打ち出され、米金融犯罪捜査網(FinCEN)が、仮想通貨間の交換サービスはマネーサービス事業と考えられ、それと同様の規制に準拠しなくてはならないとの見解を示したのに続いて、 今回の凍結判断が下されました。ビットコインミキシングサービスが公的に凍結されたのは今回が初めてです。これは、ダークマーケットだけでなく、その他のサービスも刑事法執行の対象となることを示しています」

欧州警察機関が発表した内容は、捜査がまだ完了しておらず、押収したサーバーから得た情報をもとに追加捜査が行われることを示唆している。

「オランダのFIODは過去1年間、このプラットフォーム上で行われたやり取りに関する情報を収集しました。この情報には、IPアドレス、トランザクション詳細、ビットコインアドレス、チャットメッセージなどが含まれます」と欧州警察機関は述べた。「この情報は、欧州警察機関の協力のもと、FIODによって分析され、他国にも共有される予定です」

「ベストミキサーはあからさまにマネーロンダリングを宣伝していただけではなく、彼らが拠点を置いているとうたうキュラソー島では合法だと主張していました。しかし、実際にはヨーロッパで運営しており、世界中の様々な国の顧客にサービスを提供していました」とジェバンス氏は説明した。

翻訳:Yuta Machida
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Mixed marbles image via Shutterstock
原文:EU Authorities Shut Down Bitcoin Transaction Mixer