ビットコイン、3万ドルを回復──年初から11%高【市場動向】

ビットコイン(BTC)は22日、一時3万ドルを割ったが、当記事執筆時点では3万3000ドル付近まで回復している。CoinDesk 20のデータによると、年初から約11%の上昇となる。

「下落の主な原因は、中国での暗号資産マイニングと銀行サービスへの規制にある」と投資プラットフォームeToroのサイモン・ピーターズ(Simon Peters)氏は述べた。

最新価格

当記事執筆時点の最新価格は以下のとおり。

●ビットコイン(BTC):3万2542ドル(24時間で−0.5%)
●イーサリアム(ETH):1907.71ドル(−2.16%)

●S&P500:4248.67ドル(+0.57%)
●ゴールド:1776.9ドル(−0.34)
●米国債10年物:1.475%(21日は1.493%)

中国での規制圧力は一貫して暗号資産の逆風となっており、史上最高値からの50%近い下落を招いている。

「暗号資産のマイニングと取引に関する中国からのニュースは、新しい投資家にとってはドラマチックに思えるかもしれないが、経験のある投資家は過去数年のこの類のニュース展開に慣れているはず」とヴァルキリー・インベストメンツ(Valkyrie Investments)のショーン・ルーニー(Sean Rooney)氏はコメントした。

ビットコイン価格がこの1年で約2倍になったことを考えると、規制の強化は価格に十分には折り込まれていなかったのかもしれない。

「950人以上を対象にビットコインの底値について調査したところ、2万8600ドルと2万5500ドルに意見が分かれた」と暗号資産の市場心理分析プラットフォーム、Trade the Chainのニック・マンチーニ(Nick Mancini)氏は述べた。

一方、ビットコイン価格の先行きについて、楽観的な見方をしている人もいる。

「ビットコインは現在、長期指数トレンドの約3分の1を下回って取引されおり」、この現象はビットコインの歴史の中で20%しかないとITI Capitalのスティーブン・ケルソ(Stephen Kelso)氏は述べた。「市場の力と、富を守るための希少な資産への需要を考えると、我々は投資家にとって魅力的な買いタイミングだと考えている」。

アクティブアドレスの減少

ブロックチェーンのデータは、過去数カ月、取引需要が低迷していることを示している。

「ビットコインとイーサリアムの双方で、チェーン上の動きは劇的に低下しており、アクティブアドレスとデータ転送量は2020年と2021年はじめの水準まで落ち込んでいる」とブロックチェーンデータ分析会社のグラスノード(Glassnode)は21日のレポートに記した。

ビットコインのアクティブアドレスは3月のピークから24%、イーサリアムは30%減少している。

出典 : Glassnode

暗号資産ファンドは資金引き揚げに直面

暗号資産ファンドは3週連続で資金引き揚げとなり、6月18日までの週の合計は7900万ドルとなった。21日に暗号資産運用会社コインシェアーズ(CoinShares)が発表したレポートによると、これは7週連続で引き揚げとなった2018年2月に次ぐ長さとなる。

「資金引き揚げの中心は引き続きビットコインで、6週連続、6月18日までの週の合計は8900万ドルとなった」(コインシェアーズ)

出典:CoinShares

ビットコイン先物の建玉は減少

アーケーン・リサーチ(Arcane Research)によると、ビットコイン先物市場の建玉は113億ドル、4月13日の273億ドルから59%の減少となっている。

取引の減少は、機関投資家が現状に「慎重」になっていることを示しているとアーケーンはレポートに書いている。またビットコインの3カ月先物は、スポット価格よりも割安に取引される「逆ザヤ(バックワーデーション)」状態にあると指摘した。これは一般的に弱気シグナルと捉えられている。

出典:Arcane Research

アルトコインの状況

●CoinDeskのコラムニスト、レックス・ソコリン(Lex Sokolin)氏によると、ビットコインに比べてイーサリアムは、創造的な演算という、より耐久性の高い足場を持っているという。つまり、DeFi(分散型金融)、さらにはノンファンジブル・トークン(NFT)の基盤技術となっているということだ。

●暗号資産カストディアンのアンカレッジ・デジタル(Anchorage Digital)は、ダッパーラボ(Dapper Labs)が展開するブロックチェーン「Flow」のネイティブトークン「FLOW」のカストディ(管理・保管)とステーキングをサポートすると発表した。

●イスラエルのメディア「Calcalist」の記事によると、暗号資産カストディアンのファイアーブロックス(Fireblocks)は、7000万ドル(約77億円)以上のイーサリアムにアクセスできなくなったと主張する企業から訴えられている。ファイアーブロックスは問題を調査中と伝えられた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:CoinDesk
|原文:Market Wrap: Bitcoin Back Above $30K in Volatile Trading Session