バイナンス・スマート・チェーン、見解を覆す調査結果──レイヤー1ブロックチェーンの競争の行方は

バイナンス・スマート・チェーン(BSC:Binance Smart Chain)の急成長は個人投資家が支えていると考えられていたが、実は大口投資家の動きが支えていた。ブロックチェーンデータ会社ナンセン(Nansen)が8日発表したレポートで明らかになった。

ナンセンは、大口投資家と分類したアクティブアドレスや、BSC上のステーブルコインでの取引状況などからこの結論を導き出した。

例えば、人気の分散型取引所(DEX)パンケーキスワップ(PancakeSwap)で取引が活発化した4月には、100万ドル以上のステーブルコインを使った取引高は、全体の取引高の90%以上を占めていた。8月になっても、こうした大口投資家は取引高の約30~40%を占めている。

DeFiで10万ドル以上の利益を上げたトレーダー(ナンセンは「スマートマネー」と分類している)や、暗号資産に資金を投資・管理する組織もBSCへの関心を高めている。

下図は、7.4%ものファンドがBSCとイーサリアムブロックチェーンの双方に取り組み、「Flash Boys」(1回のトランザクションで複数のDEX取引を行い、利益をあげたウォレット)では50%近くにのぼることを示している。

「興味深いことに、一部の人がBSCを否定的に捉えていることと同様に、データはかなりのスマートマネーアドレスがBSCとイーサリアムの双方に取り組んでいることを示している」(ナンセンのレポート、以下同)

今回の調査結果は、BSCの成功は個人投資家が安価な取引手数料を求めた結果という一般的な見解を覆すものだ。BSCは、より安価で迅速な取引を提供することで、イーサリアムブロックチェーンの取引手数料が高騰するなか、大きな人気を集めた。

イーサリアムもBSCも、レイヤー1ブロックチェーンとして「スマートコントラクト」を特長としており、ソフトウェア開発者は、レンディングや取引などを自動的に処理するプログラムを実行できる。

「BSCの取引手数料は平均して、イーサリアムの10%~20%に過ぎない。特に少額取引が中心となるリテール市場や、高い取引手数料の影響を回避したい開発者にとっては、これがBSCの大きな魅力になっている」

BSCの成功に大口投資家が果たした役割を浮き彫りにした一方で、ナンセンのレポートはまた、レイヤー1ブロックチェーンの競争が激化するなか、BSCがどのように「進化し、市場でのポジション強化に取り組むか」を問いかけている。

機関投資家は、大手VCの支援を受けたソラナ(Solana)、テラ(Terra)、アバランチ(Avalanche)などの新しいレイヤー1ブロックチェーンへの関心を高めているという。

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またBSCでは「ラグプル(rug pull)」と呼ばれる不正行為が増えており、安全性や分散性が低いという批判を受けている。PoSA(Proof-Of-Staked-Authority)と呼ばれるBSCのアルゴリズムは、わずか21のノードオペレーターによってコントロールされている。一方、イーサリアムのアクティブノードは現在、数千にのぼる。

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バイナンスのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)CEOは以前、CoinDeskのインタビューで「より高い分散化とスピードの間にはトレードオフの関係があるため、コミュニティが運営する21のノードがあればおそらく十分だろうと決断した」と述べている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Nansen
|原文:Large Investors Are Behind Binance Smart Chain’s Rapid Growth: Nansen