「.eth」、「.crypto」、「.coin」…NFTでドメイン名ブームが再燃

「.eth」、「.crypto」、「.coin」…NFTでドメイン名ブームが再燃

NFT(ノンファンジブル・トークン)が、1990年代後半のテックトレンドを再燃させている。短くてセクシーなドメイン名だ。

「.com」のウェブブームと似た、暗号資産(仮想通貨)市場における最新のブームでは、NFTとして販売されるブロックチェーンドメイン名が買い集められている。

ブロックチェーンドメイン名ブーム到来

ブロックチェーンドメインは、複雑な16進数のウォレットアドレスを、覚えやすい名前に変換し、検閲耐性のあるウェブサイトも可能にする。

ドメイン名の多くは「.crypto」や「.eth」といった末尾で終わる。オープンシー(OpenSea)などのNFTマーケットプレースにおいて、10万ドル以上の値で売買されているものもある。

「インターネットのドメイン名の暗号資産版だ」と、ブロックチェーンドメイン名でNFTを作成し、販売するアンストッパブル・ドメインズ(Unstoppable Domains)のCEO、ブラッド・カム(Brad Kam)氏は説明した。

2018年に設立されたアンストッパブル・ドメインズでは、米フォーチュン誌による企業ランキング「フォーチュン1000」に含まれた企業のものも複数含む、140万以上のドメイン名を登録してきた。

同社は「.crypto」、「.wallet」、「.coin」、「.nft」などで終わるドメインを販売しており、「.blockchain」の販売も計画中だ。

ブロックチェーンドメイン名サービスを手がける競合のイーサリアム・ネーム・サービス(Ethereum Name Service:ENS)は、人気の「.eth」ドメインのNFTを作成しており、同社では「ウェブ3ユーザーネーム」と呼んでいる。

ドメイン名作成というアイディアは、早くも2011年頃から暗号資産界で広まっていた。ブロックチェーン上での名前付けの最初の試みは、2011年4月にビットコイン(BTC)からフォークしたNamecoinであった。

「ウォレットアドレスが長く複雑であるというのは、よく知られた問題だった」と、カム氏は語った。

ドメインは一度買えば、固有のウォレットと関連づけることができ、暗号資産の送金や受け取りが一段と簡単になる。

ブロックチェーンのネームサービスは、インターネットのドメイン・ネーム・サービス(DNS)と似ているが、基盤となるアーキテクチャは異なり、イーサリアムブロックチェーンに基づいている。

NFTが取引されるマーケットプレースのOpenSea(オープンシー)では2020年8月、「sex.crypto」というドメインが記録的な値段の230イーサ(ETH)で売却。これは当時約9万ドルに相当するものであった。現在では230ETHは、60万ドル以上の価値がある。

「.cyrptoドメインの再販売では過去最高!

OpenSeaで本日、sex.cryptoが9万ドル(230ETH)で売却!

単独NFTの2次販売としては、オープンシー上で史上最高額。

ドメインを見つける→unstoppabledomains.com/search」

老舗ビールブランドのバドワイザー(Budweiser)は先月、ドメイン名「beer.eth」を9万5000ドル相当の30ETHで購入。オープンシーのセールスデータによれば、その後24時間で、ドメイン名の購入は300%増加した。

オープンシーは現在、アンストッパブル・ドメインズのドメイン名を31万1000以上掲載し、販売。底値は0.01ETHとなっている。

NFTブームによって、ニューヨーク・タイムズには見出しが並び、サザビーズのような著名オークション会社では、驚異的なオークション実績が生まれている中、最人気のブロックチェーンドメイン名が、急成長を続けるNFT業界に焦点を当てたものであることも驚きではない。

「ファーストネームも価値があり、それから暗号資産、ギャンブル、金融関係の言葉」と、カム氏は指摘した。

ドメイン名は最も安いものでは20ドル、長さや魅力に応じては、数万ドルの高値がつくことも。カム氏によれば、ドメイン名NFTの中には10万ドルの値がつくものもある。

インターネットドメイン名に匹敵?

「市場は伝統的ドメイン名市場と似ている」と、カム氏は説明する。「伝統的ドメインの90%は使われておらず、保有されているだけ。暗号資産でも同様だ。1つか2つを分散型の世界でのアイデンティティとして使うだけで、一度にたくさんのものを使うことは、必ずしも理にかなっていない」

悪意を持った購入に対処するため、アンストッパブル・ドメインズでは、著名ブランドや有名人の数千のドメイン名を確保し、購入できないようにしている。

「不法に占有されたり、なりすましを防止するため」と、カム氏は述べる。「無料で提供し、別人の手に渡らないようにしている」

しかし、数十万ドルのドメイン名NFTも、人気のインターネット「.com」ドメインの値段には見劣りする。

ベンチャー企業フューチャー・ファンド(Future Fund)は2月、「sushi.com」というドメイン名を、分散型暗号資産取引所スシスワップ(SushiSwap)のために190万ドルで獲得したとされている。

「sushiswapのためにsushi.comを獲得したことを報告できて嬉しく思います。

力強いドメイン名は、スシブランドのインターネットトラフィックと露出度を大いに高め、この先のプロジェクトに役立つでしょう。

2021年は$SUSHIにとって大きな1年となります」

暗号資産の普及が進めば、ブロックチェーンドメイン名の価値が、インターネットドメイン名に近づくと予測する人たちもいる。

ステータスシンボルとしてのドメイン名

暗号資産コミュニティーにおいては、ドメイン名は大きなステータスシンボルとしての役割も果たしている。価値のあるドメイン名を早期に獲得した人たちは、ソーシャルメディアでその力を見せるために自慢しているが、これはクリプトパンク(CryptoPunk)やBored ApeのNFTをプロフィール画像に使うことに似ている。

「人々は、NFTドメインをアイデンティティとして使い始めている」と、カム氏は指摘。「永遠に保有されるものなのだ」と語った。

イーサリアムの共同創業者、ヴィタリク・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、ツイッターでの名前を「vitalik.eth」に変えたことは有名だ。

ベンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz/a16z)の共同創業者ベン・ホロウィッツ(Ben Horowitz)氏は、自らの名前を「benahorowitz.eth」と表示している。

「短いドメイン名を持っているなら、誇示できる」と、アンストッパブル・ドメインズのジミー・チャン(Jimmy Chang)氏は話す。0xJimというアカウント名を使うチャン氏は、「初期に飛びついたことを象徴しているからだ」と説明した。

アンストッパブル・ドメインズは2019年、Draper AssociatesとBoost VCがサポートしたシリーズAで、430万ドルの資金を調達。同社に投資した会社には他にも、コインベース・ベンチャーズ(Coinbase Ventures)やプロトコル・ラボ(Protocol Labs)などが含まれる。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock.com
|原文:NFTs Revive Dot-Com Era Hype Over Domain Names

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