SBIがベンチャーファンド、投資企業のSTO支援も計画

SBIホールディングスは、スイスのデジタル資産銀行であるシグナム銀行グループ(Sygnum)と、イタリアの資産運用会社のアジムット(Azimut)と共同で、デジタル資産領域のスタートアップに投資を行うベンチャーファンドを設立した。

SBIの9月30日付発表文によると、ファンドはシンガポールで組成され、最大7500万ドル(約84億円)の資金を調達する。SBIのシンガポール子会社、SBI Ven Capital Pteが、ファンドの運用を行う。投資ターゲットは、東南アジアとヨーロッパでブロックチェーンを活用したインフラ開発や、分散型金融(DeFi)に関連するアーリーステージのスタートアップ企業。

SBIとシグナム、アジムットは将来的に、投資先の企業がSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)を利用して市場から資金を調達するための支援を行う計画だ。STOは、企業がブロックチェーン上で株式や債券などをデジタル証券(セキュリティ・トークン)として発行・販売し、市場から直接資金を調達する手法。

世界経済フォーラム(WEF)の報告書では、ブロックチェーンなどの分散型台帳技術(DLT)を利用した取引総額は2027年までに、世界のGDPの最大10%まで拡大すると予想されている。また、アメリカの調査会社「Pitchbook」のデータによると、2021年上半期のデジタル資産・DLTへの投資額は、170億ドルに達し、特に欧米での投資活動が活発化している(SBIの発表文より)。

直近では、独自のブロックチェーン上で、全米プロバスケットボール(NBA)のデジタル・トレーディングカード(NFT)を手がけるDapper Labsが今月、2億5000万ドル(約275億円)の資金を調達したと発表。また、デジタルのプレイヤーカード(NFT)を利用して、仮想のサッカーチームを購入・取引できるファンタジーゲームを運営するフランスのSorareは9月に、6億8000万ドル(約744億円)の資金調達を行っている。

NFT(ノンファンジブル・トークン)は、ブロックチェーン上で発行される代替不可能なデジタルトークンで、アニメやゲーム、アートなどのコンテンツの固有性や保有を証明することができるもので、NFTを利用した事業は世界的に拡大している。

|テキスト・編集:佐藤茂
|トップ画像:シンガポール(Shutterstock)