ビットコイン3大FUD(恐怖・不確実性・疑念)とは何か

ビットコイン3大FUD(恐怖・不確実性・疑念)とは何か

ビットコイン(BTC)には、「FUD(Fear, Uncertainty and Doubt)」と呼ばれる恐怖、不確実性、疑念が、不公平なほど多く寄せられている。否定的な人たちは10年以上にわたって、価格のボラティリティなどを理由に、ビットコインを非難してきた。

しかし、徹底したリサーチを行う本格的な投資家たちにとって、最も恐れられているシナリオは、実際に起こる可能性は極めて低いと知ることが多い。この記事では、ビットコインをめぐる最も一般的で大きな3つの恐怖、禁止、衰退、そして量子コンピューターについて考えていく。

FUD #1:ビットコインはゆくゆくは禁止される

ファイナンシャルアドバイザーとしての私の経験から言うと、ビットコインの様々なリスクについての認識と現実に最も大きな乖離があるのは、禁止をめぐる見解だ。よくある言説は、ビットコインは通貨として競い合っているが、政府は通貨の発行を支配したいと考えている。そのために、政府がビットコインを禁止するだろう、というものだ。

しかし、事実を慎重に検証すれば、ビットコインが幅広く禁止されるリスクは、ほぼゼロに近いことが分かる。

まず、歴史を振り返ってみよう。アメリカやその他の国々における、政府による禁止令は、ひどい結果をもたらしてきた。組織的犯罪の蔓延を招き、最終的には効果を発揮しなかったのだ。

例えば、1920〜30年代におけるアメリカでの禁酒法、あるいは現在進行中の違法ドラッグとの戦いを見てみよう。人々からの需要があるもので、すでに広まったものを禁止することは、長期的にはうまくいかない。

さらに、警察から隠すのが簡単なものほど、効果的に禁止することは一段と困難だ。アルコールやドラッグの禁止が難しいとしたら、秘密鍵を覚えるだけで保有できてしまうビットコインのような通貨を禁止することの困難さを想像できるだろうか?

そして、アルコールやドラッグを手に入れるために人々が苦労を惜しまないとしたら、加速するインフレから自らの資産を守るために、人々はどんなことだってするだろう。

ビットコインマイニングがテキサスの中核産業になりつつあり、ニューヨーク市長のエリック・アダムス氏が、最初の3回分の給与をビットコインで受け取ると発表するなど、アメリカにおけるビットコインの普及が続いていく兆しがあらゆるところに見られる。

さらに、ビットコインのマイニングと取引を禁止した中国の動きは、ビットコインの中核的な特徴を浮き彫りにしている。世界最大の権威主義国家がビットコインを制圧しようとする一方で、西欧各国政府は自由と革新のためのツールと認識しているのだ。

FUD #2:ビットコインは競合に負け、衰退していく

「ビットコインはデジタル通貨界のマイスペース(廃れてしまったSNSプラットフォーム)だ」

これも、よくあるFUDだ。ビットコインに懐疑的な人たちは、ビットコインは最初のデジタル通貨かもしれないが、「ビットコインキラー」が、すでに何千もあるデジタル資産の中に存在するか、これから発明されるいくと主張する。私の意見では、このような結末はいくつかの理由から、現実となる可能性が低い。

まず、ビットコインは最初のデジタル通貨ではない。ビットコインの前には、DigicashやE-goldなどが1990年代に登場し、失敗した。Bit GoldやB-moneyも設計・発表されはしたが、実際に導入されることはなかった。

2000年代初期には、Liberty Reserveが数十億ドル相当の価値を移動させることに成功したが、取り締まりを受けた。失敗に終わる前に、ある程度の勢いを増したデジタル通貨もいくつかあったのは確かだが、数兆ドル規模にのぼるビットコインのネットワーク価値の足元に及ぶものなど、ひとつもなかった。

2つ目に、ビットコインに続いて、何千もの暗号資産(仮想通貨)が誕生してきたが、ビットコインの普及度に近づいているものはひとつもない。それはもしかしたら、それらの競合が提供する新しい機能はすべて、分散化や安全性を犠牲にしているからかもしれない。

ビットコインの作りは、「チューリング完全」機能を提供しないことによって、明確に安全性を優先している。そしてブロックチェーンに保管されるデータの量を制限することによって、分散化も優先する。

最初のデザインにこのような制限が組み込まれていただけではなく、ビットコインコミュニティーは、この特徴を守るために激しく戦ってきた。その結果、ビットコイン・ブロックチェーンからフォークしたビットコインキャッシュ(BCH)に対して、ビットコインは大幅な優勢を保っている。

チューリング完全とは:ある計算メカニズムがチューリングマシンと同じ計算能力を持つ場合、そのメカニズムはチューリング完全を備えていると考えられる。簡単に言うと、あらゆる処理を実行できる計算能力を備えているということ。チューリングマシンは、コンピューターの概念を生み出した数学者アラン・チューリングが考えた仮想の計算機のこと。

データサイズの厳格な制限のために、ビットコイン・ブロックチェーン全体は、標準的なデスクトップコンピューターに楽に収まるようになっており、人々がネットワークノードを実行するのが簡単で、ネットワークのレジリエンスが高まっている。

現在の傾向が続けば、2020年代の終わりまでには、標準的なスマートフォンでノードが実行できるようになるだろう。より多くの機能を提供する他の暗号資産には、より大きなデータ構造が必要であり、ノードの実行がはるかに困難となるため、ネットワークの分散化が弱まる。

誕生から13年、無数の攻撃を受けてきたビットコインネットワークは、デジタル通貨の世界を支配し続けている。他のシステムには到底及ばないレベルだ。

価値が1兆ドルに達したネットワーク効果主導の資産で、その後に取って代わられたものがどれほどあるだろうか?もしかしたらいつの日か、ビットコインは何かに取って代わられるかもしれないが、今のところは、向かうところ敵なしだ。

FUD #3:ビットコインは量子コンピューターの脅威に直面している

量子コンピューターは常に、ビットコインやデジタル資産エコシステム全体へのリスクとなってきた。ビットコイン取引が依存する、楕円曲線DSA(ECDSA)やシュノア署名などのデジタル署名アルゴリズムは、パワフルな量子コンピューターによって壊すことができるからだ。

量子コンピューティングはまだ初期の段階にあるが、十分にパワフルな量子コンピューター(つまり、ユーザーがネットワークに取引を送信してから、その取引が次のブロックで承認されるまでの数分間で、デジタル署名を破壊するのに十分な量子ビットを持ったもの)が、2020年代に登場すると考える専門家もいる。

ビットコインにとってはありがたいことに、ソリューションを開発するのには莫大なインセンティブが存在する。まず、安全なデジタル署名アルゴリズムに依存するビットコインをはじめとする暗号資産の、数兆ドル規模の価値である。これらが失敗に終われば、私たちが知るところのeコマースは終わってしまう。

歴史上初めて、最新のコンピューターによる解読技術が、暗号化アルゴリズムに勝るということがあり得るだろうか?もちろんその可能性はゼロではないが、暗号化された「ネズミ」が、解読する「ネコ」の追及を逃れてきた、1世紀以上の暗号化と解読の歴史を見れば、ソリューションが見つからないことはないだろう。世界でも有数の暗号技術者たちがソリューションに取り組んでおり、数兆ドルもの価値が懸かっているとなれば、成功させるためのインセンティブは大きい。

結論

これまでに説明してきたFUDやリスクは、ビットコイン投資を考える人たちが最も恐れるものだが、それらが5年以内にビットコインの価値や機能を著しく損なう可能性は、5%未満であると私は見積もっている。そして5年以内にビットコインが完全に衰退する可能性は、1%未満だろう。

ビットコインは地球上で最もレジリエンスが高く、潰すのが難しいシステムの1つだ。ビットコインを失敗に終わらせるような大きなリスクをもたらすためには、この記事で取り上げたような脅威ではまったく不十分だ。逆に私は、ビットコインが世界でも好まれるデジタル通貨となる兆しが見えていると、考えている。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock.com
|原文:Addressing Clients’ Fear, Uncertainty and Doubt (FUD) About Bitcoin

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