分散型アプリ(Dapp)とは何か?

Dapp(分散型アプリケーション)とは、スマートフォンやノートPCのアプリのようなもので、ブロックチェーン技術を活用して、ユーザーデータを大手IT企業などの手に渡らないようにするというユニークな特徴がある。暗号資産(仮想通貨)が分散型マネーであるように、Dappは分散型、つまり非中央集権型のアプリだ。

ブロックチェーンでは、ネットワークに参加している多数のコンピューター、いわゆる「ノード」がすべてのデータのコピーを保存している。そしてノードはDappの作成者ではなく、ユーザーが所有している。

Dappには、ソーシャルネットワーク(SNS)、ゲーム、エンターテインメント、生産性向上ツールなど、従来のアプリと同様にさまざまな種類がある。だが現状、多くのDappはユーザーがDeFi(分散型金融)サービスにアクセスするためのツールとして開発されている。イーサリアムブロックチェーンのホワイトペーパーがDappを「金融」「準金融」「その他」に分類しているほど、DeFi(分散型金融)は広く人気を集めている。

イーサリアムブロックチェーンは現状、Dappの基盤ブロックチェーンとして圧倒的なシェアを占めている。スタート当初、イーサリアムの主要な目的の1つは、Dappの開発を容易にすることだった。

ユーザーにとっては、アプリケーションの開発者が使用状況などをコントロールできないこと(少なくとも、従来のようには)は安心感につながるだろう。例えば、分散型SNSアプリの開発者は、投稿を削除したり、ユーザーを排除できるパワーを持たない。さらにアプリは自律的に(=開発者の手を離れて)動作するため、ユーザーデータを誰かに販売することもできない。

Dappを支えるスマートコントラクト

なぜ、このようなことが可能なのだろうか? それは「スマートコントラクト」が使われているからだ。ブロックチェーン上に展開されたプログラムは、人手を介さずに事前に定められたルール(コントラクト)を実行する。

例えば、ユーザーが十分な額の担保をブロックチェーンに預け入れると、融資が実行されるようにプログラムされている。またDappは一般的にオープンソースであり、誰でもプログラムを閲覧・利用することができる。

DAO(自律分散型組織)はdappの一種と考えることができ、スマートコントラクトを複雑に組み合わせることで、幹部や上下構造を必要とせずに従来の組織が持つ機能を実現しようとしている。

DAOにおける意思決定は、多くのトークンを保有するメンバーがそれに比例した大きな投票権を持つ投票システムを通して行われる。これは、DAOに多くの資金を投入している人は、組織の利益のためにより誠実に参加する可能性が高いというアイデアに基づいている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:What Is a Dapp? Decentralized Apps Explained