自宅マイニングはまだ可能? 収益性はある?【北米版】

10年以上前、ビットコイン(BTC)を自宅でマイニングすることは驚くほど簡単だった。数台のゲーム用コンピューターを組み合わせるか、学校や職場のコンピューターをこっそり利用するだけで、一生困らないほどのビットコインをマイニングできた。

と言っても、マイニングしたビットコインをまったく売却しなかったか、適切なタイミングで売却したか、ハードディスクを捨ててしまわなかった場合に限るが。

2022年1月に単独でマイニングに成功した人のような、100万人に1人の例外を除いて、そんな時代は遠い過去となってしまった。

ビットコインネットワークはきわめて巨大になり、強力で、専用のマイニング機器を倉庫いっぱいに備えたマイニング事業者のみが利益を生み出すチャンスを持っている。

だが、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)のマイニングを、普通の人にとっても利益の出るものにする方法は存在する。利益をあげるチャンスを算出するためのツール、そしてどのコインが最適かを見ていこう。

自宅でのビットコインマイニングに収益性はあるか?

ビットコインは、世界初の暗号資産であり、マイニングを世に広めた。マイニングとは、ブロックチェーンに新しいブロックを追加するために、演算能力を使って誰よりも先にコード(ハッシュと呼ばれる)を生成するプロセスをいう。

一番早くハッシュを生成したマイナーは、その努力の見返りとして、新しく作られた暗号資産を受け取る。このようなタイプのブロックチェーン検証システムは「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」と呼ばれる。

暗号資産をマイニングする時には、利益を食いつぶすマイナス部分に注意する必要がある。つまり、ビットコインの市場価格、電力料金、メンテナンス費用、マイニング機器のコスト、そして強力なマイニング機器が次々と登場するなかで、自分のマイニング機器がいつまで有効か、といった点だ。かつては強力だった機器も、新しいマイニング機器の登場で時代遅れになる。

Nicehashのような収益性算出ツールは、あなたのマイニングが赤字か、黒字かを見極めることに役に立つ。例えば、1キロワット時あたり0.1411ドルという、アメリカの平均的な電力料金を想定しよう。

Nicehashの算出結果によると、RTX 3080などエヌビディアの新しめのグラフィックカード(GPU)を使っていれば、1カ月に139ドル(約1万6000円)を生み出すことができる。2022年1月時点、RTX 3080の価格は約1400ドル。

マイニング専用機器のAntMiner S19 Proを使っている場合、1日ああたりの収益は17.79ドル(約2050円)。だがS19 Pro1台の値段は1万ドルでマイニングにしか使えない。さらにS19 Proが生み出す収益の約半分は電気代に消える。

ビットコイン価格は非常に変動しやすいため、RTX 3080にかかった費用を10カ月、S19 Proにかかった費用を25カ月で取り戻すことができる保証はない。

新しいビットコインをマイニングすることが(演算の面で)どれほど難しいかを示す「ネットワーク難易度」も変動しやすい。2021年7月の中国でのマイニング規制を受けて、ネットワーク難易度は28%低下。残ったマイナーにとってマイニングははるかに簡単になった。しかし、それも一時的なもので、今ではほぼ、過去の高い水準まで戻っている。

マイニングには規模のメリットがあり、自宅マイナーは一般的に、マイニング企業よりもマイニング機器1台あたりの収益性は低くなる。

コストをカバーするために、マイニング事業者はしばしば、電力料金の安い地域を行き来したり、地元電力会社と特別な契約を結んだり、自ら発電を行ったり、驚くような頻度で旧式のマイニング機器を更新していく。

自宅マイニングで収益性のある暗号資産は?

それでも、自宅で暗号資産マイニングを行う週末マイナーには、他の選択肢もたくさんある。残念ながら、選択肢や変動要素が多すぎるので、正確な比較は難しい。

分かりきったこともいくつかある。一般的には、グラフィックカード(GPU)ではなくコンピューターを使う場合、イーサリアム(ETH)よりも、ビットコインをマイニングする方が効率的だ。イーサリアムはGPUでのマイニングに適しているためだ。

さらにイーサリアムは「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」への移行を進めているため、いずれマイニングできなくなる。GPUの調達も大きな問題だ。2021年の強気相場の際にGPU市場は超活況となり、高性能GPUを市場価格で買うことはほぼ不可能になった。

さらに、ややこしいことに、Chiaなど一部のブロックチェーンでのマイニングは、グラフィックカードやコンピューターチップではなく、ハードディスクドライブに依存しているため、2021年のハードディスクドライブ不足はChiaマイニングのせいだという人もいた。

それでも、収益性算出ツールのCoinWarzなどを使うと、収益性を示してくれる。例えば、ハードウェアのコストを1000ドルとすると、収益性の高い暗号資産は次のようになる。

  1. イーサリアム(ETH)
  2. ピアコイン(PPC)
  3. ビットコインキャッシュ(BCH
  4. ビットコイン(BTC)
  5. イーサリアムクラシック(ETC

電力料金が0.411ドル/キロワットとすると、CoinWarzでは、1日に20.94ドル相当のイーサリアムを生み出すことができる。イーサリアムクラシックは9.63ドル相当なので、収益性は2倍以上だ。

他のマイナーとの競争が少ない時価総額が小さな暗号資産は、収益性が高い可能性もある。しかし、時価総額が小さな暗号資産の価格は一般的に、メジャーな暗号資産よりも変動しやすいため、収益の予測ははるかに困難になる。

Whattomineによると、Radeon RX 480を3枚使った場合、1日あたりのマイニング収益は、フィロ(FIRO)では1.21ドル、レイヴンコイン(RVN)では1.07ドル、セロ(SERO)では0.9ドルとなる。

自宅マイニングに代わる選択肢

マイニング報酬を受け取るチャンスを高めたいと考えているなら、ビットコインマイニングプールに参加することもできる。他のマイナーと協力して、収益を生み出す可能性を高めようとする取り組みだ。しかし、報酬を山分けすることにもなる。

最後に、自宅では演算能力を揃えることができない場合は、クラウドマイニングを検討することもできる。その場合は、ハードウェアをアウトソースするメリットとデメリットを比較して、判断しよう。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Can You Still Mine Bitcoin and Other Crypto From Home?