岩瀬氏創業のKLKTN:元ソフバンG副社長、アニモカBが出資──NFT事業開発を加速

NFTの売買・取引プラットフォーム「Kollektion(コレクション)」を開発するKLKTNが、640万ドル(約7.4億円)を調達した。ライフネット生命の共同創業者、岩瀬大輔氏がCEOを務めるKLKTNは、同プラットフォームの開発作業を加速させる。

KLKTNの今回の調達ラウンドは、ソフトバンクグループ前副社長の佐護勝紀氏と、ブロックチェーンゲームを開発する香港のアニモカブランズ(Animoca Brands)がリードインベスターとして参画。米プロバスケットボールの名場面をNFTにした「NBA Top Shot」を手がけるDapper Labsも、ラウンドに加わった。KLKTNが26日に発表した。

KLKTNは、昨年7月に岩瀬氏と、音楽プロデューサーのジェフ・ミヤハラ氏、Dapper Labsで「クリプトキティーズ(Cryptokitties)」の開発に携わったファビアーノ・ソリアーニ(Fabiano Soriani)氏が共同創業した香港企業。同社は今回のラウンドを合わせて、累計1050万ドル(約12億円)の資金を調達している。

Kollektionには、Dapper Labsが開発した「Flow」ブロックチェーンが採用されている。コンテンツによっては、クレジットカードとペイパル(PayPal)を利用してNFTを購入することができる。同社は、カナダなどに多くのエンジニアを配置し、ロンドンのデザイナーや東京の事業開発部隊などと連携しながらサービス開発を進めているが、今後はエンジニアの採用をさらに強化していく方針だ。

安室奈美恵、西野カナの楽曲手がけたジェフ・ミヤハラ氏が共同創業

また、KLKTNは今年中に、二次流通機能(セカンダリー)とオークション取引機能の実装を計画している。ユーザーはKollektion内のウォレットで保有しているNFTを閲覧できるが、ユーザー間で閲覧できる機能開発も進めていく。

共同創業者のジェフ・ミヤハラ(Jeff Miyahara)氏は、安室奈美恵や西野カナの楽曲のプロデュースに携わってきたプロデューサーで、KLKTNはこれまでにミヤハラ氏が中心となって、音楽カテゴリーのNFTコンテンツのラインナップを増やしてきた。

「MONDO GROSSO」で知られる世界的なミュージシャンの大沢伸一氏や、ロックミュージシャンのMIYAVI氏、韓国人シンガーソングライターのケビ
ン・ウー氏などのNFTアイテムを発売してきた。昨年12月には、週刊「ヤングマガジン」と連携して、マンガ作品のNFT販売を開始した。

今回の調達ラウンドに参画したアニモカブランズは、150を超えるNFTプロジェクトに積極投資している企業で、これまでにDapper Labsや世界最大のNFTマーケットプレイス「OpenSea(オープンシー)」、NFTゲームの「アクシー・インフィニティ(Axie Infinity)」などに出資してきた。

DappRaderのデータによると、過去30日間の取引総額で最大規模のNFTマーケットプレイスは、47億ドルを記録した「LooksRare」で、38億ドルのOpenSeaが第2位。「Magic Eden」が3位で3億7000万ドル、4位には1億6700万ドルのAxi Infinityがつけている。

アニモカブランズはメタバース(仮想空間)も投資テーマの大きな一つに据えている。KLKTNが仕かけるメタバースに対応したNFT事業戦略にも、注目が集まりそうだ。

|テキスト:佐藤茂
|トップ画像:Kollektionで販売されてるNFT/提供:KLKTN)