インフレとビットコイン大幅下落、個人投資家が考えるべきこと【オピニオン】

インフレとビットコイン大幅下落、個人投資家が考えるべきこと【オピニオン】

うつむいてばかりいないで、スクリーンを見て欲しい。ビットコイン(BTC)は10%値上がり。デイトレーダーに人気のアルトコイン、イーサ(ETH)、テラ(LUNA)、コスモス(ATOM)も値上がりしている。あなたの投資全体としては損失がでているとしても、チャートはグリーンになっている。

暗号資産とボラティリティ

1月25日の市場の反発は、デッド・キャット・バウンス(大幅下落後の一時的な小幅回復)かもしれないが、ボラティリティの高い暗号資産(仮想通貨)のサイクルにおけるデータポイントに過ぎない。

このボラテリティこそが、多くの投資家が暗号資産市場に進出する時に求めているものである。同時に、準備のできていないレバレッジを効かせすぎた買い手にとっては、ひどい痛手をもたらすものだ。

ここ6週間における暗号資産市場の動きを見て、「いつ買ったらいいだろうか?」と考える人もいるだろう。

暗号資産は一度は、時価総額が3兆ドルにも達した資産クラスであり、ゴールドマン・サックスの元CEO、ロイド・ブランクファイン(Lloyd Blankfein)氏は24日、暗号資産はなくならないとコメントした。逆に、「絶対に手を出さない。訳が分からない」と宣言した人もいるだろう。

その2者の中間に、堅実な意見というのがあるはずだ。私は投資の魔術師ではなく、暗号資産を報じる記者に過ぎないが、暗号資産に投資する唯一の適切な方法は、確信を持って投資することだと言える。

当たり前のように聞こえるかもしれないが、暗号資産の構造的な特性(トークンは仲介業者を必要とせず、24時間365日世界中からアクセス可能といった点など)によって、しばしば詐欺が、より魅力的な買いのチャンスに見えてしまうのだ。

市場のタイミングを読むことができれば、ダンプ(売り叩き)に巻き込まれるのではなく、パンプ(吊り上げ)の最中に利益を上げることができる。

これまで、FOMO(機会を逃すことへの恐怖:fear of missing out)について多くが語られてきた。いつ買うのか?永遠にFOMOを避けるべきか、そもそも避けることができるのか?

FOMOは、経済のあまりに多くの部分を突き動かす、不可欠なメカニズムだ。ブランディングによって計算される欲望と、羨望に突き動かされる投機、楽しみたいという人間的衝動が混ぜ合わさったものである。

暗号資産の世界には、過剰な盛り上げの仕組みも存在しており、そのような派手なショーを超えて存在するプロジェクトは数少ない。ポンジ・スキーム的な経済学が、技術経済的なツールである暗号資産には織り込まれている。コミュニティを築くために、やる気を同調させ、利己的な買い手を惹きつけるための方法なのだ。

しかし、仲介業者を排除し、行動学的経済メカニズムのみに依存するということは、ほぼすべてのトークンが、超資本主義的な搾取にさらされ得ることも意味する。拘束されない市場とは、幸福でもあり災いでもあるのだ。

さらに、暗号資産は資産クラスとして、長編シリーズのヒーローのような物語の世界で生きている。値下がりする時には、燃え尽きるように暴落してしまう傾向があり、値上がりする時には、スマートなエリートスーツ組の一団が、分散型テックが金融からゲームまで、あらゆるものをディスラプト(創造的に破壊)していくと、ツイッタースレッドを展開する。

コメンテーターたちが息をつかせずしゃべりたてている時、価格が高騰あるいは暴落している時に、暗号資産の経済学と、プロダクトマーケットフィットについて、批判的に考える時間を取ることは難しい。しかし、そうしなければならない。

市場の頃合いを測ることはできないし、多くの場合、初期の参入者たちが、あなたが永遠に手にできないほどのトークンを保有しているという不利な状況で、あなたは市場に参入していくのだということも、知っておくべきだ。

スマートになろう

どうやらFRB(米連邦準備制度理事会)は、利上げをはじめとするインフレ対応策を検討しているようだ。多くの個人暗号資産投資家たちはまだ保有を続けているようだが、ここ数カ月、買いためていた訳でもない。少なくとも1000コインを保有する大口ビットコイン保有者「クジラ」はおおむね、その資産をステーブルコインへと移行させている。

これらの情報をどう考えるだろうか?少なくとも私にとっては、自分で処理するにはあまりに情報量が多すぎて、圧倒されて理解できない。割安感があるからといって暗号資産にお金を注ぎ込んでおいて、市場が大暴落して2度と回復しないのはご免だ。しかし、私の銀行預金はインフレのせいで、価値を徐々に下げている。

リスクは見方によっては、ボラティリティのいとこかもしれないし、分身かもしれない。「ベータ」という言葉は、価値判断を下すことなく、どちらの特徴も捉えてくれる。

暗号資産が高ベータ資産クラスと表現することは、この体系的な危険と、信じられない値動きの両方をつなげてくれる。しかし、暗号資産のベータを買うことは、確信を持っていれば、単なる投機的な賭け以上のものとなる。

暗号資産は、万人向けの投資ではない。そして、失っても構わない以上の資産を決して投資してはならない。そう約束して欲しい。

私には、残念ながら信じてしまっているプロジェクトがいくつかあるのだ。暗号資産は、経済活動の大半において中心的なものとなることは決してないが、実際に存在する問題に対して、確かな解決策を提示することはできる。

分散化は力強いものだ。暗号資産はそのレベルにまで到達し、現代の公共財インフラのようなものになるかもしれない。つまり、すべての人がアクセスでき、何者の影響も受けない、ということだ。

長期的に暗号資産に投資することは、そのような考えに投資するということだ。しかし、その恩恵をいつか受けるために、暗号資産を保有している必要はないのだ。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock.com
|原文:Wipe Away Your Tears: Crypto Is About More Than Prices

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