Facebookのマーカス氏、給料を「リブラで受け取っても構わない」──米上院委員会で発言

Facebookのマーカス氏、給料を「リブラで受け取っても構わない」──米上院委員会で発言

Brady Dale
公開日:2019年 7月 17日 14:15
更新日:2019年 10月 23日 16:47

ソーシャルメディア大手フェイスブック(Facebook)のブロックチェーン担当責任者デビッド・マーカス(David Marcus)氏は上院議員たちに対し、給料の全額をフェイスブックが提案する仮想通貨リブラ(Libra)で受け取っても構わないと述べた。

上院銀行委員会が2019年7月16日(現地時間)開催した、リブラプロジェクトについての公聴会で、委員会の幹部である民主党のシェロッド・ブラウン(Sherrod Brown)上院議員(オハイオ州)は、マーカス氏に対し、自身の資産を投資しても良いと考えるくらいリブラを信じているか尋ねた。

フェイスブックによるプライバシー侵害の歴史を列挙した後「人々が苦労して稼いだお金をあなた方に任せても良いと考えると本当に思っているのでしょうか。妄想的な考えだと私は思います」とブラウン議員は述べた。そして次の質問を投げかけた。「あなたは、その新しいリブラ通貨で給料の全額を受け取りますか」

マーカス氏は初め、リブラは「銀行口座の代替としてデザインされていない」と答えてその質問をかわした。ブラウン議員がさらに追求すると、マーカス氏は「自分の全資産をリブラに委ねるか。ええ、そうしても構いません」

ブラウン議員が再び給与に絞った質問をして初めて、マーカス氏は次のように肯定的に答えた。

「受け取るでしょう。準備金に1対1で裏付けられていますから」

「一体全体どういう意味?」

2時間におよぶ公聴会の中で、そのようなやり取りがマーカス氏と議員たちの間で多く見られた。

例えばマーカス氏が、フェイスブックはリブラプロジェクトに関わる多くの企業の1つに過ぎないという主張を繰り返すと、ブラウン議員は次のように反撃した。「あなた方も自身の立ち位置をよく理解しているでしょう。(ソーシャルメディア企業として)フェイスブックだけが20億人もの人にアクセスできるのです」

マーカス氏は公聴会の中で、信頼は「原始的(primordial)」だと何度か述べている。ある時、ブラウン議員は次のように質問した。「『信頼が原始的だ』とは一体全体どういう意味ですか」

「我々がより良くし続けなくてはならないという意味です」と、マーカス氏は答えた。

データプライバシー関連以外だと、議員たちは消費者保護についてもマーカス氏を追求した。民主党のキルステン・リー・シネマ(Kyrsten Lea Sinema)上院議員(アリゾナ州)は、アリゾナ州住民がスペインで開発されたウォレットを利用していたとして、パキスタンにいる何者かによる詐欺の被害にあったらどうなるのか、と質問した。その人はどこに助けを求めればいいのか、と。

「アメリカ国民はおそらく、アメリカを拠点とするウォレットサービスを使う可能性が高いです」とマーカス氏は返答し、そうでない場合、消費者の補償を受ける権利はウォレットプロバイダーの規約と条件に準じる、と付け加えた。

規制法の支持

銀行委員会で最高位の民主党員であるブラウン議員は公聴会の後、報道陣に対して、リブラを規制する法律を支持すると述べた。

フェイスブックのウォレット運営子会社カリブラ(Calibra)が親会社のフェイスブックやリブラ協会コンソーシアムにユーザーデータを共有することはないというマーカス氏の主張を、ブラウン議員は信じていないようだった。

フェイスブックは「人々のプライバシーを守るという点において信頼できません。フェイスブックはこれまでに何度も、国民の信頼を裏切っており、彼らを信頼できるようにする要素は想像すらできません」と、ブラウン議員は述べた。

そして次のように続けた。

「もし彼らがリブラを突き進めていくほど傲慢だとしたら、そして公聴会ではそのような印象を受けましたが、法による規制が適切だと思います。党派を超えた幅広い支持が得られるだろうと私は考えます」

ブラウン議員は、法律が具体的にどのようなものになるかは分からないと述べた。また、下院金融サービス委員会による大手テクノロジー企業の仮想通貨発行を禁止する法案の草案を上院も支持するかについてはコメントしなかった。

ブラウン議員は、フェイスブックがリブラ協会に加盟する他の企業と同等の地位を持つことになるとは信じられないという見解を繰り返した。フェイスブックは運営評議会の投票権の1%しか持たないかもしれないが、「フェイスブックは20億人ものユーザーを抱えているため、大きな影響力を持つでしょう」とブラウン議員は述べた。

我々はザッカーバーグを信じない

今回の公聴会はリブラプロジェクトが6月に公表されてから数日で設定された。下院金融サービス委員会も7月17日にリブラに関する公聴会を開く。

全体として今回の公聴会では、フェイスブック関連の質問が多くを占め、仮想通貨に関してはあまり触れられなかった。議員たちが技術よりもフェイスブックという企業についてより心配していることを示す形となった。

銀行委員会の委員長を務める、共和党のマイク・クラポ(Mike Crapo)上院議員(アイダホ州)の比較的慎重な冒頭の発言とは対照的に、ブラウン氏は最初の発言で自身の姿勢を示した。「フェイスブックは危険です」

フェイスブックが保守派をプラットフォームから排除したことや、同社の選挙干渉における役割など金融に関連のない問題が多く議論された一方で、全ての始まりとなった仮想通貨、ビットコインはほんの数回しか言及されなかった。

ブラウン議員は報道陣に次のように語った。

「アメリカ人は明らかにウォール街を信用していません。そしていまや、大手テクノロジー企業も同じカテゴリーに入れるようになっています」

公聴会全体の様子はこちら。

翻訳:山口晶子
編集:町田優太、佐藤茂
写真:David Marcus image via Senate Banking Committee.
原文:Facebook’s Marcus Says He’d Accept 100% of His Pay in Libra