イーサリアム「マージトレード」は続くか、 マイニング頼みのセルシウス再建案【7/16~7/22のトップニュース】

マージによって、イーサリアムの年間発行量は90%減少、価格上昇につながると期待されている。だが、市場関係者の思いや考え方は依然としてさまざまだ──今週のトップニュースをダイジェストで振り返ります。

BTCマイニングマシン、2年ぶりの低価格──セルシウス破綻でさらに下落圧力

弱気相場はビットコインマイニング業界に打撃を与え続けており、最新世代マイニングマシンの価格は2020年の安値まで下落している。

ビットメインのAntminer S19とS19 Proは、ブローカーによるとテラハッシュ(TH)あたり20〜23ドルで取引されている。ちなみに、ルクソー・マイニング(Luxor Mining)のハッシュレートインデックスによると、数カ月前は約40ドル、昨年は119ドルだった。

暗号資産企業へのVC投資、上半期は26%減

暗号資産企業に対するベンチャーキャピタル(VC)投資は2022年上半期、暗号資産価格の下落、テラUSD(UST)の崩壊、セルシウスやスリー・アローズ・キャピタルの破綻などの影響を受け、前年同期比26%減となった。

2022年上半期、暗号資産企業へのVC投資は93億ドル、前年同期は125億ドルだった(Crunchbaseのデータによる)。

BNPパリバ、暗号資産カストディ参入:関係者

仏銀大手BNPパリバがスイスの暗号資産カストディ企業のメタコ(Metaco)と提携し、カストディ事業に参入する。この件に詳しい3人の関係者が語った。

今回の件が特に大きなインパクトを持つのは、傘下のBNP Paribas Securities Servicesがすでに大手グローバル・カストディ企業として約13兆ドル(約1800兆円)の資産をカストディ(保管・管理)しているためだ。

イーサリアム、4月以来の50日移動平均線超え

イーサリアムは7月18日、50日単純移動平均線(SMA)を超え、1500ドル超となる1カ月ぶりの高値を記録した。

チャートトレーダーやテクニカルアナリストは通常、50日SMAを上回る動きをパジティブな変化のサインと見るが、Fairlead Strategiesの創業者兼マネージングパートナーのケイティー・ストックトン(Katie Stockton)氏は、イーサリアムの今回の50日SMAの突破は通常とは異なる可能性があると述べた。

セルシウス、マイニング頼みの再建案──個人投資家への返済は後回しか?

暗号資産レンディングのセルシウス(Celsius)は50万人の債権者に対して約50億ドルの負債を抱えていると、7月18日に行われた1回目の破産審問で同社の弁護士は述べた。

裁判所に提出された書類は、セルシウスの債権者──そのほとんどは一般的な個人投資家──を不安にさせるものだった。同社はバランスシートに(少なくとも)12億ドルの巨大な穴を開けており、セルシウスの口座に暗号資産を預けていた個人投資家への返済はおそらく最後になる。

「実現損失」は市場の底を示しているか:Glassnode

売り手が疲弊している兆候は、ビットコインにマーケットのボトム(底)に似た状況を生み出しているとブロックチェーン分析企業グラスノード(Glassnode)は7月18日、レポートで述べた。

実現損失、つまり資産を売却して発生した損失は投資家のキャピチュレーション(投げ売り)の程度を示しており、ブロックチェーンデータを使って測定できる。

「暗号資産とDeFiはなくならない」香港金融管理局総裁

香港金融管理局(HKMA)のエディー・ユー(Eddie Yue)総裁は、暗号資産とDeFi(分散型金融)は最近は不安定な状況を見せているものの、今後も金融システムの中で重要な役割を果たすと考えている。

金融メディアのFinBoldは7月18日、ユー総裁はインドネシアで開かれたG20(20カ国・地域)財務相会議で、アルゴリズム型ステーブルコインのテラUSD(UST)とその関連暗号資産テラ(LUNA)の崩壊のような事態を防ぐため、暗号資産業界の規制強化を呼びかけたと伝えた。

ドバイ、メタバース戦略を発表──1000社超の企業誘致を目指す

7月18日、WAM(国営エミレーツ通信社)で発表された「ドバイ・メタバース戦略」は、2030年までに1000社以上のブロックチェーンおよびメタバース企業の誘致と、4万以上のバーチャル・ジョブのサポートを目指すもの。

「ドバイ経済をさらに活性化させ、ブロックチェーン企業の数を現在の5倍にするというUAE政府のビジョンをサポートする」(WAMでの発表より)

ソラナ、新規デイリーアドレスが増加──暗号資産ソラナも上昇

ソラナの「新規デイリーアドレス」の伸びは、弱気相場のなかでソラナが一貫してユーザー基盤を拡大させたことを示しているとCoinMarketCapは7月19日、ツイートした。

新規デイリーアドレスは、あるブロックチェーンで初めてウォレットを開設したユーザーを示し、成長と普及のサインとなる。

テスラ、1300億円相当のビットコイン売却:第2四半期決算報告

EV大手のテスラは2022年第2四半期(4−6月期)、9億3600万ドル(約1295億円)相当のビットコイン(BTC)を売却したことが7月20日、同社が発表した四半期決算報告で明らかになった。

イーロン・マスクCEOは、同社は「中国における新型コロナウイルスによるロックダウンの不確実性を考慮」し、保有するビットコインの大半を売却してキャッシュポジションを最大化したと述べた。

イーサリアム「マージトレード」、市場関係者の反応はさまざま

イーサリアムは、9月に実行が期待されている「Merge(マージ)」を前に投資家センチメントが強気に転じ、7月21日朝時点、過去1週間で約48%上昇した。いわゆる「マージ・トレード」だ。

だが一部のアナリストはイーサリアムの上昇モーメントは長くは続かないと注意を促した。

「イーサリアムの値動きは、今後数週間で市場全体が好転するとの期待を確かに与えている。だが突然の価格上昇は主に過剰な期待とおそらくマージへの理解不足が要因となった」とUpholdの暗号資産リサーチ責任者、マーチン・ヒアブック(Martin Hiesboeck)博士はコメントした。

ブテリン氏、「Merge」と「Surge」を語る:パリのイーサリアム会議

イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は7月21日、パリで開催された年次イベント「Ethereum Community Conference (EthCC)」でイーサリアムの長期的な将来について語った。

ブテリン氏はまず、PoS移行、いわゆる「Merge(マージ)」について語り、マージの長期的・短期的な成果について「マージ後は、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)が存在したことなどを気にせずにイーサリアム・クライアントを開発することができる」と述べた。

個人投資家の需要回復、極端なデレバレッジは終了:JPモルガン

個人投資家の暗号資産市場における需要は改善しており、デレバレッジの「激しいフェーズ」は終わったようだと米銀最大手のJPモルガン・チェースは7月21日のレポートで述べた。

「5月と6月に見られた、2018年以降で最も極端なバックワーデーション(逆ザヤ)のフェーズは過ぎ去ったようだ」(JPモルガン)

弱気相場のなか、新株発行で1億ドル調達:BTCマイニングのCore Scientific

ビットコインマイニング大手のコア・サイエンティフィック(Core Scientific)は、投資銀行B.ライリー(B. Riley)に対して今後2年間で最大1億ドル(約140億円)の株式を発行することに合意したと7月21日に発表した。流動性の強化が目的だ。

HashPortと三井住友、NFT事業連携で協議

NFTに特化したブロックチェーンを開発するハッシュパレットを傘下に持つHashPortと、三井住友フィナンシャルグループは、トークン事業の協業に向けた協議を開始する。

HashPortが7月22日に発表した内容によると、2社は三井住友FGが保有する顧客基盤やビジネスノウハウと、HashPortが開発するWeb3領域における技術を融合させ、NFTにおけるエコシステムの構築を目指す。

|文・編集:coindesk JAPAN編集部
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