「安全な逃避先はない」ドル高の影響を語るベテラントレーダー

ビットコイン(BTC)は上昇しているかもしれませんが、それは必ずしもデジタル通貨がバラ色の未来を持っていることを意味するものではありません。

「安全な逃避先(=安全資産)はない」とeToroの暗号資産コンサルタント、グレン・グッドマン(Glen Goodman)氏は27日、CoinDesk TVに出演し、米ドルの上昇による暗号資産、世界中の通貨、さらには米国債の値動きに触れた。

「我々は、世界中の巨額のお金がドルに流れ込むという問題を抱えている。つまり、他のすべてが枯渇している」(グッドマン氏)

投資家から最も安全な逃避先と見なされてきた米国債さえ「下落を続けており、アメリカ経済と世界経済の双方にとって大きなリスクとなっている」と付け加えた。

ビットコインについては、「良いニュース」がないにもかかわらず、価格が上昇していると指摘した。

「利上げの一時停止のようなちょっとしたポジティブなニュースが株式市場や暗号資産市場のトレーダーにとって、何を意味するのかを考えてみてほしい。株式と暗号資産は最近、相関関係が非常に高まっているので、利上げペースの低下が皆を元気づけるのなら素晴らしいことだ」

ビットコインは27日未明に上昇し、重要な心理的バリアの2万ドルを超えた(だが、午後には反落している)。

ドル高は反転するか

トレーダーは、外国為替市場の動きと関連させてビットコインのパフォーマンスを分析している。過去5日間、英ポンド、日本円、中国人民元は米ドルに対して大きく下落した。

グッドマン氏によると、トレーダーが「利益確定を始める」ことで、ドル高が反転する可能性があるという。これは最終的にドルバブルの崩壊につながる可能性がある。

20年を超えるトレーディング経験を持つグッドマン氏は、各国の中央銀行はこれ以上「危険な経済・市場状況」にならないよう、利上げを一時停止する必要があるだろうと指摘した。

ドル高は、多額の米ドル建て債務を抱える国々に圧力をかけている。

「ドル高が進めば進むほど、そうした国々は債務の返済に追われることになる。対抗手段としては、自国通貨の価値を上げるしかない。つまり、金利も上げなければならない」

コモディティ価格の下落は「アメリカのインフレ率が自然に下がってくる」ことの初期のサインを示している可能性があるという。

「今は、市場は上昇のためのあらゆる理由を探している」とグッドマン氏は語った。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk TV(キャプチャ)
|原文:‘There Are No Safe Havens’ When the Dollar Is Strong, Veteran Trader Says