JPモルガン、カニエ・ウェストとの関係断絶:クリプト的視点

JPモルガン、カニエ・ウェストとの関係断絶:クリプト的視点

米銀最大手のJPモルガン・チェースは、ラッパーのカニエ・ウェストとの関係を断つことになった。カニエ・ウェストは過去数週間、ソーシャルメディアや、アメリカで高い人気を誇るテレビ番組などで反ユダヤ的な陰謀論をシェアしてきた。

CoinDeskでは、ビットコインから始まった金融革命について、バランスの取れた報道や、鋭い知見を提供することをミッションとしている。つまりこのニュースも、なぜ暗号資産(仮想通貨)が大事なのか、という切り口で取り上げることになる。

金融における検閲

分散型金融ネットワークは、使う人を差別せず、資金とコンピューターがある人なら誰でもアクセスすることができる。カニエ・ウェストは、自分の資産の新しい保管先を11月21日までに見つけなければならない。

もしかしたら、ビットコイン(BTC)、あるいは利回りを生む分散型金融(DeFi)プログラムを選ぶかもしれない。他にも、ビリオネアの彼を喜んで顧客にしたい銀行や信用組合が、数多くあるのは間違いない。

ここでは、カニエ・ウェストの最近の発言や投稿の中身については議論しない。残念ながら、彼との取引関係を終わらせるというJPモルガンの決断が正当化できるかどうか、判断することはできない。ツイッターに流れた後、カニエ・ウェスト自身も本物と認めたとされるJPモルガンからの書簡には、正式な理由が書かれていないのだ。

しかし、金融の検閲について、いくつかのポイントを考えていきたい。これは新しい現象ではなく、この現代版レッドライニングは、アメリカや世界中で加速しているようだ。規制当局は、どのプロトコルが使われるべきかについて境界線を引くために、暗号資産の分野にさえ介入してきている。

取引を停止したり、口座を凍結するには、もっともな理由も存在する。人種、性別、宗教、その他の保護対象となる特性にもとづいた差別でない限り、サービス提供を拒否する企業は、権利を行使しているだけだ。大統領がお気に入りのソーシャルメディアを追放された場合も、この点は変わらず、憲法と道徳の問題なのだ。

どの顧客にサービスを提供するか銀行が選べることが心配なのではなく、銀行の恣意性が心配なのだ。今回の判断のタイミングから見ると、JPモルガンが被る評判上のリスクが、カニエ・ウェストがもたらすビジネスを上回るということなのだろうが、断言はできない。

カニエ・ウェストは、JPモルガンと長年問題を抱えてきた。先月には、CEOのジェイミー・ダイモンCEOに電話で連絡がつかないと文句を言い、さらには資産運用や投資銀行部門の幹部を批判した。

カニエ・ウェストが公に同行を批判したことだけで、関係終了の理由としては十分で、最近のソーシャルメディア上での振る舞いの後にその決断が発表されたというタイミングは、単なる偶然という可能性も十分にある。

自らの道

JPモルガンの今回の動きは、アディダスやギャップとカニエ・ウェストとの関係終了とも似ている。カニエ・ウェストのファッションラインの長年のパートナーであったこれら企業が関係終了に踏み切ったのか、カニエ・ウェスト側からの決別だったのかははっきりしない。しかし、アメリカ企業界が少しの騒動にも慎重になるのは、驚くべきことではない。

「もう一人でやっていく時なんだ」と、カニエ・ウェストは先月、ブルームバーグのインタビューに答えて語った。「大丈夫だ。企業にはお金を儲けさせてやったし、企業も私にお金を儲けさせてくれた。(中略)自分で新しい業界を生み出す時だ。自分とファンや消費者の間に、企業を挟むのはもうおしまいだ」と。

ある意味、カニエ・ウェストは、また時代の先を行っている。彼は一人で進んでいくことを決意したのだ。そして世界は、それに続いていくだろう。カニエ・ウェストそのものではなく、自らの道を切り開いていくという点で。

これは、インターネットの登場によって引き起こされ、暗号資産が加速させたトレンドだ。デジタル化によって、誰でも仲介業者なしでビジネス、ブランド、人生を構築できるようになっている。

銀行が反体制派活動家にペナルティーを課すことが意味を持つだろうか?いまだに意味は持つが、ビットコインというオプションが登場して以来、その意味はますます薄らいでいる。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Katherine Welles / Shutterstock.com
|原文:JPMorgan Closed Kanye’s Account. Yes, There’s a Crypto Angle

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