北朝鮮、盗んだ仮想通貨は大量破壊兵器の資金源か:ロイター報道

北朝鮮は、銀行や取引所から盗んだ仮想通貨や法定通貨を大量破壊兵器の資金源としている。機密の国連報告書によって明らかとなった。

ロイター(Reuters)が確認したその報告書は「独立した専門家」によって調査されたもので、国連安保理北朝鮮制裁委員会に先週提出されたもの。同報告書によると、北朝鮮は「広範囲に広がり、ますます高度化する」ハッキングによって、約20億ドル(約2127億円)を集め、ウェブ上でマネーロンダリングしている。

ロイターは、国連北朝鮮政府代表部は同報告書について尋ねたが、コメントを得られなかったと報じた。

専門家らは、約17カ国から報告された「北朝鮮が外貨を獲得する目的で、金融機関、仮想通貨取引所、そしてマイニング活動に仕掛けた、少なくとも35件の攻撃」を調査しているとのこと。北朝鮮のハッカーの多くは、秘密作戦を担う諜報機関、朝鮮人民軍偵察総局の下で活動している。

仮想通貨取引所を標的とすることで、北朝鮮が「従来の銀行セクターに比べて追跡がより難しく、政府の監視や規制を受けにくい方法で、資金を得ること」が可能になったと、報告書には記されている。

トランプ米大統領は、核兵器開発計画を断念させるために、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と数回会談を行なってきた。

ロイターは、米国務省の報道官に国連の報告書について尋ね、次のような回答を得た、と伝えている。

「北朝鮮の悪意あるサイバー攻撃は、違法な大量破壊兵器、および弾道ミサイル計画の資金源となります。我々は、北朝鮮のそのような能力に対抗するための行動を起こすことを全ての責任ある国家に求めます」

これまでに、北朝鮮が仮想通貨取引所の大規模ハッキングに関与していたことを結びつける報道がいくつかあった。

韓国の情報機関は2018年、同国の複数の取引所が攻撃を受け、数十億ウォン相当の損失が出たとして北朝鮮を非難した。その当時、5億ドル相当以上の仮想通貨の盗難につながった、日本の仮想通貨取引所コインチェック(Coincheck)への大規模なハッキングに北朝鮮が関与しているか、捜査が行われていた。

最近では、北朝鮮のハッカーが、韓国の仮想通貨取引所アップビット(UPbit)のユーザーをフィッシング詐欺の標的にしていたと伝えられている。

翻訳:山口晶子
編集:町田優太
写真:Pyongyang image via Shutterstock
原文:North Korea Stole $2 Billion in Crypto and Fiat to Fund Weapons Programs