バフェット、ソロス、ダリオ……著名投資家が仮想通貨についてどう発言したか

株式や債券の投資で巨額の利益を生み出した著名な投資家、ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロス、レイ・ダリオ、チャーリー・マンガー。彼らがビットコインなどの仮想通貨に厳しい見方をしていることは知られているが、実際にどのような発言をしているのだろうか。主に米国メディアでの報道や公式動画などからまとめた。

“オマハの賢人” バフェット ──「ビットコインは妄想」

ネブラスカ州オマハの持ち株会社バークシャー・ハサウェイを長年率い、“オマハの賢人”として知られるウォーレン・バフェット氏は ブロックチェーンについてはその有用性を認めているが、仮想通貨・ビットコインに対して非常に厳しい見方をしている。

CNBCによると、2018年にはバークシャー・ハサウェイの株主総会で「殺鼠剤を2乗したようなもの」と述べたほか、ビットコインを「蜃気楼」「通貨ではない」「チューリップ」(注:バブルの象徴)などにたとえている。

また2019年2月にはCNBCのインタビューで、「基本的には妄想だ」「ビットコインにはまったく固有の価値がない。人生を変えると期待して世界最大の仮想通貨(ビットコインのこと)を買った楽観論の持ち主には同情する」「山師・詐欺師には魅力的だろう」などと述べている。

さらに2019年5月のバークシャーの年次総会では、記者団に対して「(ビットコインは)何もしない。単にそこにあるだけだ。それは貝殻か何かのようで、私にとっては投資ではない」とコメント。「ギャンブルの道具」であり「多くの詐欺師がぶら下がっている」「ビットコインは何も生み出さない」とも話している

仮想通貨をジャケットのボタンと比較し、「私がボタンを取るとしよう。この取ったボタンはちょっとしたトークンだ。あなたに1000ドルで提供して、その日の終わりまでに2000ドルまで価格が上昇させられるか試す。ただボタンの用途は1つしかない。しかも限られている」と加えた。

一方、バフェット氏はブロックチェーンを高く評価している。「ブロックチェーンはかなり重要だ。ただビットコインを必要としない」と述べている

このように仮想通貨に否定的な見方をしているバフェット氏に、業界関係者がその魅力を伝えるべくコンタクトを試みている。eBayが毎年、 バフェット氏とランチができる権利をチャリティオークションに出品しており、いつも数億円規模で落札されているが、今年は仮想通貨トロンの創業者ジャスティン・サン氏が、460万ドル(約5億円)で落札している

サン氏はこのランチに、仮想通貨の取引プラットフォームeToroのヨニ・アッシア創業者兼CEO、ステーブルコイン「USDコイン(USDC)」を発行するサークルのジェレミー・アレールCEO、仮想通貨のライトコインを創設したチャーリー・リー氏を招いていたが、腎臓結石のため延期を余儀なくされている。

“バフェットの相棒” マンガー──「ビットコインはまったく愚か」

バフェット氏と共にバークシャー・ハサウェイを長年率いてきたチャーリー・マンガー氏。 INSIDERの2019年5月の記事によると、 あるビットコイン投資家のグループからイベントに招待されたものの参加せず、ビットコイン投資家は「裏切り者のユダの生涯と業績を祝福している」と述べたという。

昨年2月にもマンガー氏は、ビットコインのことを「まったく愚かなものだ」といい、人々が仮想通貨に投資するのは「簡単にお金を手に入れたいからだ」と主張。

さらに仮想通貨に投資しているトレーダーたちのことは「不愉快だ。誰かがクソの取引を始め、自身も取り残されないようにと続くようなものだ」などと述べている。たしかにバフェットと足並みはそろっているようだ。

 “イングランド銀行をつぶした男” ソロス──「典型的なバブル」

1992年の英国ポンド急落の際、ポンドを売り浴びせ、安くなったところで買い戻し、1日で15億ドルとも20億ドルともいわれる利益を得たジョージ・ソロス氏。この出来事から“イングランド銀行をつぶした男”と呼ばれている。

すでに投資の一線からは退いているソロス氏だが、2018年のダボス会議で「暗号通貨という名前は誤用であり、いくつかの誤解にもとづく典型的なバブル」と述べていた。さらに「ビットコインは通貨ではない。なぜなら通貨とはその価値が安定的であるべきだからだ。1日で25%も値動きするような通貨は支払いには使えない。というのも手数料まで25%下がりかねない。誤解にもとづくただの投機だ」とバッサリ。ボラティリティー(変動性)が高いため現実には通貨として機能し得ないとの評価を示した。

ソロス氏はまた「 ブロックチェーンのように革新的な技術もあり、いろいろな用途が考えられる。だがこれまで(ビットコインは)租税回避や、独裁者や統治者が海外に資産を作るために使われている」と述べている。

しかしソロス氏の資産を運用するファミリーオフィスが仮想通貨を含むデジタル資産の取引を始めることも報じられた。ファミリーオフィスの運用額は約260億ドルともいわれ、ソロス氏自身が関与している可能性は低いと見られるものの、高い注目を集めている。

“巨大ヘッジファンド、ブリッジウォーター率いる” ダリオ──「きわめて投機的」

世界最大規模のヘッジファンド運用会社、ブリッジウォーター・アソシエーツを創業したレイ・ダリオ氏は2017年9月、「きわめて投機的だ。投資家が考えているのは『より高い価格で売れるだろうか』ということだ。従ってこれはバブルだ」と述べている。また「誰もあなたがやろうとしていることを知ることができない」などとして、プライバシーの面からもビットコインには問題があると指摘している。

また2017年12月に公開されたこの動画では、ビットコインがバブルの様相を呈していると指摘。コンセプトとしての可能性は認めつつ、交換手段としても価値保存手段としても機能していないという見解を示していた。

文・編集:CoinDesk Japan
写真:Shutterstock