ビットコインとハンセン指数がともに失速──市場全体でのリスク回避が迫っている?

1カ月前に始まったビットコイン(BTC)の上昇は、今週壁にぶつかり、重要な抵抗線の近くで上昇の勢いが尽きてしまったようだ。そして、香港市場のベンチマークであるハンセン指数でも同じようなパターンが生じた。

このため、ある観測筋は、金融市場の隅々でリスク回避の動きが再燃する可能性があると考えている。

「BTCとハンセンの失敗は、2022年初頭の平穏な雰囲気が一年中は続かないかもしれないことを示すテクニカルなサインだ」とトレーダーでスペクトラマーケッツ(Spectra Markets)社長のブレント・ドネリー(Brent Donnelly)氏は1月30日の夜遅くに顧客に送ったメモで述べている。

ドネリー氏の発言は、熟練トレーダーのリスク心理を示す先行指標としてビットコインの評価が高まっていることを示している。過去には、この世界最大の暗号資産(仮想通貨)がS&P500の主要なトップとボトムを数週間先行したことがある。

ビットコインの重要な抵抗線での下落は、差し迫ったより広い市場でのリスク回避の事前警告かもしれない。(CoinDesk/TradingView)

ビットコインは1月30日に4%近く下落し、2万4000ドルから下降に転じた。昨年8月にも2万4000ドルを超えたところで同様の強気相場の失速が見られた。

ハンセン指数も2022年6月まで遡ることができる抵抗線から下降に転じた。

「ビットコインのチャートはハンセン指数のチャートに少し似ている」とドネリー氏はメモに記している。「BTCは2万4000ドルで、2万5100ドル/2万5400ドルというピボットをわずかに下回った。これもリスク資産を警戒する理由の一つだ」

株式、債券、暗号資産はここ数週間で急騰し、米ドルは連邦準備制度理事会(FRB)が5月に利上げを一時停止し、年内に利下げするとの期待から下落している。

FRBは2月2日に基準金利を0.25%引き上げ、4.5%から4.75%の新たなレンジに設定する可能性が高い。アナリストたちは、FRBのジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長が利上げ決定後の記者会見で利下げに対する市場の期待に反発し、リスク資産への下落圧力がかかると予想している。

ドネリー氏は、リスク選好度を低下させるような不確実性がいくつか控えていると考えている。

「今年は非常に多くのシナリオ(ノーランディング、ソフトランディング、リセッションライト、ハードランディング、クラッシュランディング)が存在しているので、2023年の最初の数週間に市場が正しい答えにたどり着く可能性はそれほど高くないと思う。2022年は明確な一方通行のシナリオ(FRBが金融引き締め)だったが、2023年はそれに比べてはるかに明確ではない」とドネリー氏は述べている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像: CoinDesk/TradingView
|原文:Bitcoin and Hang Seng’s Stalled Rally Might Mean Wider De-Risking Ahead, TradFi Firm Says