ドーシー氏が支援する分散型SNS「Damus」、中国のApp Storeから早くも削除

ジャック・ドーシー(Jack Dorsey)氏が支援する、ビットコインのライトニングネットワークを統合したツイッター(Twitter)代替アプリ「Damus」が、アップル(Apple)の中国のApp Storeから排除されたことが、Damusのツイートで明らかになった。

中国のサイバースペース管理局(CAC)から通知を受け取ったアップルによると、このアプリが 「世論の形成または社会的動員の可能性を持つ情報サービス」であるため、「中国において違法とされるコンテンツを含む」と判断されたとのことだ。

Damusは、検閲に強いグローバルSNS構築を目指すオープンプロトコル「Nostr」上で動作する。ツイッターの元CEOのドーシー氏は、14BTC(当時、約24万5000ドルに相当)を寄付して、Nostrの開発を支援している。

Damusの分散型の性質はコンテンツのモデレーションが存在しないことを意味し、アップルのグローバルなApp Storeに登録することを困難にしている。Damusのツイートによると、アップルは不快なコンテンツにフラグを立てたり、悪質なユーザーをブロックしたりする仕組みをアプリに要求しているため、何度も登録を却下されたという。

中国では、オンラインマーケットプレースに掲載されている、または国内のユーザーがアクセスできるオンラインプラットフォームには、インターネットコンテンツプロバイダー(ICP)ライセンスが必要だ。

その制度の中では、ICPライセンス事業者は「中国の憲法で定められた基本原則に反対し、国家の名誉と利益を損なう」「風説を流布し、社会秩序を乱し、社会の安定を損なう」コンテンツなどの公開を禁止されている。

ビットコイン・ライトニングネットワークのサポートが含まれていることも、中国国内では暗号資産(仮想通貨)が禁止されているため、当局がこのプロジェクトを好意的に見ない理由の一つだろう。

また、ICPライセンス事業者は、コンテンツを投稿・制作する人の実名情報とIPアドレスを保持し、要求に応じて当局に提供することが義務付けられている。

さらに、中国はインターネットニュース情報サービスに対する外国資本の参入を禁止している。

これで何か変わるのだろうか?

中国にはグレートファイアウォールがあるにもかかわらず、仮想プライベートネットワーク(VPN)サービスが広く普及しているせいで、中国在住の数十万人の人々が、フェイスブック(Facebook)、インスタグラム(Instagram)、ツイッターなどの西側のソーシャルメディアプラットフォームで活動している。

中国に拠点を置く暗号資産コミュニティのメンバーは米CoinDeskに対し、多くの中国人がVPNを使用し、スマートフォンのApp Storeをアメリカまたは香港に設定しているため、この禁止の影響はあまりないだろうと述べている。

ある人物によると、Damusの人気の一部には、初期ユーザー、特に紹介コードを使って多くの新規ユーザーを登録させたユーザーに、一種のエアドロップが行われるという憶測が含まれているという。

その人物は「このDamus禁止令は大した効果はないだろう。結局のところ、技術的には暗号資産は中国で禁止されているが、相変わらず人気があるのだから」とも述べている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Apple
|原文:Jack Dorsey-Based Social Network Nostr Gets Damus App Banned From China App Store