暗号資産ファンドのビットコイン保有高が増加──投資家の需要回復

暗号資産(仮想通貨)を運用する信託やファンドがビットコイン(BTC)保有高を増やしている。銀行の破綻が続いた後の数週間で投資家の需要が回復したためだ。

暗号資産分析企業CryptoQuantによると、信託やETP(上場取引型金融商品)などの暗号資産運用会社が保有するビットコインは3月初旬に急激に減少し、シルバーゲート銀行、シグネチャー銀行、シリコンバレー銀行の破綻直後の3月14日には68万8000BTCを下回った。

だがその後の数週間で約4000BTC増加し、4月2日現在、保有高は69万2000を超え、2万8000ドル強の現在の価格で約200億ドル(約2兆6400億円、1ドル132円換算)相当となっている。

CryptoQuant

「深刻な危機に直面したビットコインにとって、最初の重要なテストだと思う」とCryptoQuantのアナリストのグリズリー(Grizzly)はCoinDeskに語った。

同氏によると、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げサイクルを終わらせるとの憶測が広まり、投資家が保有資産を増やしているという。

次のFOMCで利上げはあるか?

パウエルFRB議長は3月下旬の記者会見では利上げ停止に触れなかったが、CME FedWatch Toolでは現在、58%のトレーダーが5月の連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げはないと予想している。

暗号資産運用会社CoinSharesのリサーチ責任者ジェームズ・バターフィル(James Butterfill)氏は「投資家は様子見のアプローチを取っているようだ」「FRBの救済プログラムが銀行の取り付け騒ぎを食い止めたかどうかは、まだわからない」と述べた。

さらに同氏は「(FRBは)問題を先送りしただけで、FRBは金利を上げずにインフレ問題を引き起こすか、金利を上げて銀行危機を引き起こすかの間で行き詰まっていると考えている」「いずれにせよ、長期的にはビットコインのサポート材料となる可能性が高い」と続けた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CryptoQuant
|原文:Crypto Funds’ Bitcoin Holdings Rise as Investor Demand Rebounds