ChatGPTに暗号資産について聞いてみた

「ChatGPTはあなたの仕事を奪うと思う?」と、レイオフが続くIT大手に勤めるデータサイエンティストの友人に聞いてみた。

「NO。私の仕事は特定のコンテクスト(文脈)が非常に求められる」と友人は簡潔に答え、企業が持つ独自のデータセットが作り出す(ChatGPTに対する)バリアや堀の存在を指摘した。

それはともかく、ChatGPTは暗号資産についてどう考えているのだろうか? ChatGPTは投資を専門にするライターやストラテジストの脅威になるのだろうか?

ここで1つ、考えてみよう。ChatGPTの見解は、トレーニングに使用されたデータに組み込まれていた情報や心理をもとにした「平均的」意見を反映したものであるはずだ。暗号資産について、ある程度の共通見解、あるいは先進的な統計的訓練から生まれた集団的時代精神を提示するはず。

ChatGPTが何を考えているか、聞いてみた。

ビットコインとは?

──ビットコインを高校生に説明してください。

ChatGPT:ビットコインは、オンラインでの買い物に使えるデジタルマネーの一種です。しかし、伝統的なマネーのように印刷あるいは鋳造されるのではなく、コンピューターコードを使って作られ、ブロックチェーンと呼ばれる公開台帳に保管されています。

ビットコインは通常のマネー通貨とは異なります。分散型、つまり政府や金融機関に管理されていないからです。取引はユーザー間で直接処理され、銀行やクレジットカード会社などの仲介者は必要ありません。

ビットコインは分散化されているため、伝統的金融システムには実現できないような水準のプライバシーとセキュリティを提供できます。しかし、その価値は変動しやすく、投資にはリスクが伴います。

つまり、ビットコインはデジタルで取引を行い、価値を保存する新しい方法であり、インフレに対するヘッジや、ゴールドのような価値の保存手段になると考えている人もいます。

分散化、仲介者の排除、価値の保存手段、政府に管理されない、ゴールドのよう──これらすべて、ビットコインのストーリーを支える一般的で一貫したテーマだ。続けよう。

暗号資産は役に立つか?

──暗号資産は役に立ちますか? シンプルな言葉で説明してください。

ChatGPT:暗号資産はいくつかの理由から、有用なものになり得ます。最も一般的な、いくつかの理由は次のとおりです。

分散化:ビットコインやイーサリアムのような暗号資産は分散型、つまり中心的な権威や政府によっては管理されていません。これによって取引をより高速、安価、安全にすることができます。

グローバルアクセス:暗号資産はインターネット接続が可能な人なら誰でも、世界のどこにいてもアクセスし、利用できます。伝統的な銀行システムにアクセスできない人や、国境を超えた取引をしたい人にとっては特に有用です。

透明性:暗号資産取引はブロックチェーンと呼ばれる公開台帳に記録されます。つまり、透明性があり、誰でも検証できます。これによって信頼性を高め、詐欺のリスクを減らすことができます。

プログラマビリティ:イーサリアムのような一部の暗号資産では、開発者はブロックチェーン上で実行できる分散型アプリケーションを作ることができます。これらのアプリケーションは、金融、ゲーム、投票、サプライチェーンマネジメントなどの幅広い目的に使用できます。

しかし、暗号資産はまだ比較的新しいテクノロジーであり、高いボラティリティと規制上の不明確さにさらされていることに留意することが重要です。加えて暗号資産は、決済手段として幅広く受け入れられてはおらず、すべての人に適したものではないかもしれません。あらゆる投資あるいは金融の判断と同様に、暗号資産に投資する前には自分でリサーチを行い、自身の状況を検討することが重要です。

分散化、仲介者の排除、透明性など、似たような話が展開された。だがスマートコントラクト、グローバルな視点、健全な金融リスクについての注意事項があった。ちなみに、ChatGPTのトレーニングデータには、2021年9月までの情報が含まれていることに注意してほしい。偶然にも前回の強気相場のピークの頃だ。

「FTXとは? サム・バンクマン-フリード氏とは?」と聞いてみれば、まだ数カ月前に起こったことを知らないことがわかる。

グローバルな通貨

ChatGPTが暗号資産のグローバルな性質に触れていることは、デジタル資産が国境を超えた支払いをより簡単にすること、地域の金融サービスやインフラに変わる分散型で信頼性の高いオープンソースの代替オプションを提供できることを思い起こさせてくれる。

私を含め多くの人は、先進国における生活の一部として当たり前と思っているため、まれに銀行危機が起きた時以外、このようなきわめて重要なユースケースを簡単に見逃してしまう。Googleトレンドで、ビットコインとイーサリアムの検索データを比較すると、こうした平凡なユースケースが好まれていることがよくわかる。

グーグル検索比率:ビットコイン/イーサリアム、過去5年間、上位/下位20位まで

これは、ビットコインとイーサリアムに対する検索行動を組み合わせ、検索行動の相対的な比率を算出することで、ユーザーの関心を読み解こうとしたものだ。

比率が1の場合、ある国における検索行動はビットコインとイーサリアムで同じ。10の場合、ビットコインの検索数はイーサリアムの10倍。ビットコインの時価総額は現在、イーサリアムの約2.3倍であることを考えれば、上のチャートでそれを下回る数字がほとんどないことは驚きではない。2.3のスイスは時価総額からの予想と一致している(ここでも、中立というわけだ)。

国によって異なる関心事

ロシア、エジプト、ナイジェリアはイーサリアムよりもビットコインに対する関心がはるかに高く、セルビア、中国、スイス(イーサリアム財団はスイスにある)は相対的にイーサリアムへの関心が高い。

ビットコイン/イーサリアムの検索行動の上位と下位の国々を見てみると、途上国や新興経済国は価値の保存や分散型決済システムとしての利便性にフォーカスしているのに対し、先進国はブロックチェーンやスマートコントラクトプラットフォームを通して既存の金融テクノロジーインフラを改良、アップグレードすることに興味があると結論づけることができる。

最後にもう1つ、私たちがよく質問されることをChatGPTに質問してみた。

──AIは投資アナリストの仕事を奪いますか?

ChatGPT:AIは分析の助けになりますが、そのスキルに取って代わることはできません。人間がまだ必要です。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:What ChatGPT Thinks About Digital Assets