「CBDCに差し迫った必要性はない」ハンガリー中銀幹部

ハンガリーは、広く国民が利用可能な中央銀行デジタル通貨(CBDC)の差し迫った必要性はないと考えているが、銀行口座を持たない人々を助けることができるかどうかを実験していると中央銀行の高官が5月10日に述べた。

欧州連合(EU)の加盟国であるハンガリーは、原則としてユーロ導入が義務付けられているが、自国通貨のフォリントを放棄する時期を決めることをそれほど急いでいるようには見受けられない。

ポンド、ユーロ、スウェーデンクローナといった通貨を発行する各国の中央銀行を含む多くの欧州当局が、自国通貨をデジタル形式で発行するかどうかを積極的に検討している。欧州中央銀行(ECB)は今年末までにデジタルユーロの開発に着手するかどうかを決定する予定であり、イギリスではイングランド銀行がデジタルポンドが将来的に必要になる「可能性が高い」と述べている。

ハンガリー中央銀行のチーフ・デジタル・オフィサーであるアニコ・ソンバティ(Anikó Szombati)氏は、シンクタンクのOMFIF(Official Monetary and Financial Institutions Forum)が主催したイベントで「今のところ、一般市民や商店に向けたリテールCBDCの大規模な導入について、差し迫った必要性はないと考えている」と述べた。

しかし、彼女は実証実験を通じて「デジタル通貨発行の可能性を探っている」とし、「CBDC研究の最前線に立ち続けたい」とも述べた。

国際決済銀行(BIS)の調査によると、世界中の中央銀行の9割がCBDCを検討しているという。

ソンバティ氏は「CBDCを検討する際には、まず、深刻な市場の失敗または非常に強力な政策目標のいずれかに基づいて動機を特定する必要がある」と述べ、ハンガリーの成人の13%が銀行口座を持っていないことから、より多くの人々を金融システムに参加させることが一つの動機になり得ると付け加えた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Hungarian Central Bank Sees No Imminent Need for e-Forint